
愛猫が息を引き取ったあと、からだが少しずつ硬くなっていく様子に、戸惑いや不安を感じている飼い主様もいらっしゃるかもしれません。
死後硬直は、亡くなってから2〜3時間ほどで始まる自然なからだの変化です。始まる時間や続く長さは、季節やお部屋の温度、猫ちゃんの体格によっても変わります。猫ちゃんの今の状態に合わせて、してあげられることを順番に確認していきましょう。

この記事の監修者
高間 健太郎(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
猫の死後硬直が始まる時間と経過

死後硬直は、からだの筋肉がエネルギーを使い切り、縮んだまま固まることで起こります※1。
いつ始まり、どのように広がって、いつ解けていくのか、時間の流れに沿って見ていきましょう。
死後硬直はいつから始まる?
猫の死後硬直は、亡くなってから2〜3時間ほどで始まるといわれています。早い場合は、1時間ほどで硬くなり始めることもあります。
気温が高い夏場や暖かいお部屋では進み方が早く、涼しい季節や冷えた場所ではゆっくりになる傾向があります。また、猫のように小さな動物は、からだの大きな動物よりも硬直が早く進むのだそうです※1。
一方で、長く闘病していた猫ちゃんや、高齢で筋肉が落ちていた猫ちゃんは、硬直が弱く、あまり硬さを感じないこともあります。からだの状態による自然な違いなので、心配しなくて大丈夫です。
体が硬くなる順番
死後硬直は、全身が一度に硬くなるのではなく、あごや顔まわりの小さな筋肉から始まり、時間をかけて全身へ広がっていきます。進み方の目安は次のとおりです。
| 亡くなってからの時間 | からだの様子 |
|---|---|
| 2〜3時間ごろ | あごやまぶたが硬くなり始める |
| 4〜6時間ごろ | 首や前足に広がる |
| 6〜8時間ごろ | 胴体や後ろ足まで、全身に広がる |
| 12〜18時間ごろ | 全身の硬さがもっとも強くなる |
いずれも目安で、季節やお部屋の環境によって前後します。
死後硬直はいつ解ける?
硬くなったからだは、ずっとそのままではありません。時間がたつと筋肉が少しずつゆるみ、やわらかさが戻ってきます。これを「解硬(かいこう)」といいます。
全身の硬さは半日から1日ほど続き、亡くなってから1〜2日ほどたつと、少しずつ解けていくといわれています。解け始める時期も気温に左右され、暑い時期は早く、寒い時期はゆっくりになります。
しっかり冷やして安置していると、火葬の日まで硬さが残っていることもあります。
死後硬直した猫の体をどう扱えばよい?

夜中に息を引き取っていたときや、外出から戻ったときなど、気がついたときには手足が伸びたまま硬くなっていた、ということもあります。
硬くなってからでも、愛猫のためにしてあげられることはあります。焦らず、ゆっくり向き合ってあげてください。
硬くなった手足は無理に曲げない
伸びたまま硬くなった手足を、力を入れて曲げたり、引っ張ったりするのはやめておきましょう。関節や皮膚を傷めてしまったり、骨が折れてしまったりすることがあります。
棺に納めにくいときも、まずは次の方法を試してみてください。
体勢を変えられない場合の対処
固まっている関節を手のひらで包み、ゆっくりさするように温めると、筋肉がほぐれて少しずつ動かせるようになることがあるそうです。足の付け根やひじ、ひざなど、一か所ずつ時間をかけて、何回かに分けて動かしてあげてください。
それでも動かないときは、今の姿勢のまま、ゆったり納まる大きさの箱を用意してあげましょう。段ボール箱でもかまいません。
筆者も愛猫が亡くなったとき、伸びていた手足をからだに寄せて、丸くなって眠っているような姿勢に整えてあげました。タオルに包まれ、たくさんのお花に囲まれて穏やかに目を閉じている姿を見て、悲しい気持ちが少し和らいだのを覚えています。
もし、手足を寄せてあげられなかったときでも、やわらかなタオルでそっと包み、お花を添えてあげれば、愛猫はきっと安らかな寝顔を見せてくれるはずです。
冷却して安置するときの注意点
からだが硬直していても、冷やすことはすぐに始めてあげましょう。保冷剤の置き方や安置の基本は、次の記事で詳しくご紹介しています。
📖保冷剤の置き方や安置の基本は、次の記事で詳しくご紹介しています🐈🧊
硬直しているときは、とくに次の点に気をつけてあげてください。
- ●保冷剤を当てるために体勢を無理に変えず、からだとシーツのすき間に差し込むように添える
- ●手のひらで温めてほぐすのは関節だけにして、終わったら冷却に戻る
- ●からだ全体を温かいタオルで包んだり、室温を上げたりして硬直を解こうとしない
- ●保冷剤は必ずタオルで包み、溶け切る前にこまめに取り替える
からだ全体を温めると、硬直がゆるむより先に、からだの傷みが進んでしまうことがあります。ほぐすときも、温めるのは手のひらのぬくもりで十分です。
死後硬直とあわせて見られる体の変化

亡くなったあとのからだには、硬直のほかにもいくつかの変化があらわれます。初めて目にすると驚かれるかもしれませんが、どれも自然なことです。
目や口が開いたままになる
亡くなったあとは、まぶたやあごを閉じておく筋肉の力がゆるむため、目や口が少し開いたままになることがよくあります。
目が開いているときは、手のひらでまぶたをやさしくなでおろしてあげましょう。閉じにくいときは、水で濡らして固く絞ったガーゼやコットンを、しばらくまぶたにのせておく方法もあります。口が開いてしまうときは、あごの下に丸めたタオルを添えて支えます。
あごやまぶたは、硬直が最初に始まるところです。硬くなったあとは閉じにくいこともありますが、少し開いたままでも、無理に閉じなくて大丈夫です。
体液が出ることがある
亡くなる前後には、お尻まわりの筋肉がゆるみ、おしっこやうんちが出てしまうことがあります※1,※2。時間がたってから、口や鼻、お尻から体液が出てくることもあります。色がついていたり、血が混じっていたりすることもありますが、どれも亡くなったあとの自然な変化です。
出てしまったときは、ぬるま湯で湿らせて固く絞ったガーゼやタオルで、やさしく拭き取ってあげてください。
汚れが広がらないように、次のような準備をしておくと安心です。
- ●からだの下にペットシーツを重ねて敷いておく
- ●頭の下にタオルを敷き、頭を少し高くしておく
- ●口元やお尻のまわりにガーゼを当てておく
- ●口や鼻、お尻に脱脂綿を軽く詰めておく方法もある
硬直が解けて体が柔らかくなる
硬直が解けてやわらかくなってきたら、伸びていた手足をそっとからだに寄せて、眠っているような姿勢に整え直してあげることができます。硬くて整えてあげられなかった飼い主様も、このときにもう一度、楽な姿勢にしてあげてください。
からだがやわらかくなると、止まっていた体液がまた出てきやすくなり、からだの傷みも進みやすくなります。シーツやタオルを新しいものに替えながら、火葬の日まで冷やし続けてあげましょう。
猫の死亡確認と死後硬直に関する疑問

猫が亡くなったか確認するには?
猫ちゃんがぐったりして動かなくなっても、深く意識を失っているだけで、まだ命がつながっていることもあります。慌ててしまう気持ちもよくわかりますが、次のポイントを落ち着いて確かめましょう。
- 💨呼吸:胸やお腹が上下に動いていないか、1分ほどじっと見る。鼻先にティッシュを近づけて、揺れないかも確かめる
- 💓鼓動:胸の左側に耳や手のひらを当てて、心臓の音や動きを感じないか確かめる※2
- 🌡️体温:お腹や肉球など毛の薄いところに触れて、ぬくもりが残っていないか確かめる
- 👂反応:名前を呼んだり、肉球を軽くつまんだりして、反応がないか確かめる
- 👁瞳孔:明るいお部屋でも、黒目が大きく開いたままになっていないか確かめる
- 🪨硬直:あごやひじ、ひざが硬くなっていないか確かめる
とても弱っているときは、呼吸や鼓動がゆっくりになり、回数が少なくなっていることもあります。少し時間をかけて、何度か確かめてみてください。
⚠️瞳孔にライトを当てて、黒目が小さくなるかを見る方法もあります。ただし、まだ生きている場合は目を傷めてしまうおそれがあるため、ほかのポイントで動きがないことを確かめてから、最後に行いましょう。
死後硬直している猫が生き返ることはある?
「死後硬直したあとに猫が生き返った」という話を耳にすることがあります。しかし、心臓と呼吸が止まり、からだに硬直が始まったあとで、命が戻ることはないのだそうです。
生き返ったように感じられるのは、次のような変化があるためです。
- ●硬直が解けて、からだがやわらかくなる
- ●亡くなった前後に、耳がピクッと動いたり、手足がぐっと伸びたりする
- ●口や鼻から体液が出てくる
- ●お腹にたまったガスで、からだがわずかに動いたように見える
どれも、亡くなったあとのからだに起こる自然な変化です。耳や手足が動くのも、筋肉や神経にわずかに残っていた反応によるものなのだそうです※1。
大切な愛猫だからこそ、もう一度目を開けてくれるのではと願ってしまうのは、自然なことです。その想いを胸に、猫ちゃんのからだを整えて、ゆっくりお別れの時間を過ごしてあげてください。
死亡しているか分からない場合は?
低体温やショック、持病によるけいれんの発作などで、亡くなったように見えても、まだ息がある場合もあります。
⚠️呼吸や鼓動がわずかでも感じられるときや、確かめても判断に迷うときは、すぐにかかりつけの動物病院へ連絡してください。診療時間外であれば、夜間救急の動物病院へ連絡しましょう。電話で猫ちゃんの様子を伝えると、どうすればよいかを教えてもらえます。
まとめ|死後硬直が起きた猫を適切に安置するために
猫の死後硬直は、亡くなってから2〜3時間ほどで始まり、1〜2日ほどで少しずつ解けていきます。
硬くなっていても無理に手足を曲げたりせず、手のひらでほぐしたり、今の姿勢のまま納めたりしながら、からだを冷やして安置してあげましょう。
猫ちゃんが動かなくなり、亡くなったか判断に迷うときは、ご家族だけで決めずに動物病院へ相談してください。
📖 安置ができたら、少しずつ火葬やお見送りの準備を考えていきましょう。
葬儀や火葬、供養の方法は、次の記事でご紹介しています🐈🌈
どんな姿勢であっても、飼い主様にやさしく触れてもらえた猫ちゃんは、穏やかな気持ちで眠っているはずです。
📞ペット火葬ハピネスでは、ご自宅での安置の仕方に迷ったときのご相談も承っています。「からだが硬くなってしまい、棺に納められるか心配」というときも、遠慮なくご連絡ください。ペット葬儀士が丁寧にお話をうかがいます。
【📄 出典】
この記事の執筆者
ペット火葬
ハピネス 編集部 S・A
愛犬・愛猫・愛鳥など8匹以上を見送った経験を持ち、現在も愛犬と暮らす動物愛好家。初代愛犬を満足に供養できなかった経験からペット火葬ハピネスへ入社。あたたかなペット葬儀のための情報を発信。私生活では動物保護ボランティアへの支援を行っている。














