ハムスターの寿命は種類によって差はありますが、大体2~3年と言われています。
ハムスターの寿命は短いからこそ、幸せな生涯を送ってもらえるように支えてあげたいもの。
そのためにはハムスターが死ぬ前に見せる行動を把握し、必要な場合は手当てしてあげることが大切。
このページではハムスターが死ぬ前に見せる行動や変化に加えて、ハムスターが疑似冬眠してしまった際の対処方法をご紹介します。
大切なペットちゃんが安らかに旅立てるよう、こちらのページを参考に環境を整えてあげてください。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ハムスターが死ぬ前に見せる行動や変化
ハムスターが死ぬ前に見せる具体的な変化についてご紹介します。
これらの変化や行動がみられた場合は獣医師に相談するようにしましょう。
食欲がない
ハムスターは体調が悪くなると食欲がなくなります。
すぐに食欲の変化に気づけるように、日々の食事管理が大切になります。
いつもより食べていないようであれば注意して観察するようにしましょう。
とはいえ夜行性なので、日中は餌を食べる姿を見られないこともあります。
餌の量を一定にして食べた量を確認したり、体重を記録することで変化に気づけるようにしましょう。
寝ている時間が長い・動きが鈍い
ハムスターは種類にもよりますが、一日の睡眠時間は約12~14時間と言われています。
高齢になるにつれて体力が衰えて更に睡眠時間が長くなります。
しかし、明らかに睡眠時間が長くなった場合は寿命が近づいているサインかもしれません。
また、ケガをしていたり、体調が悪いというケースもありますので、獣医師に相談しましょう。
また、ぐったりして動かないという場合は体調が悪いサインかもしれません。
続くようであれば一度獣医師に相談しましょう。
ハムスターは高齢になるにつれて動きが鈍くなるため、ケージ内の段差を減らすなどレイアウトを変更することも大切です。
下痢が続く場合は要注意
ハムスターが下痢をする原因は「消化不良」「ウイルスによる腸炎(ウェットテイル)」「寄生虫」などが考えられます。
体の小さいハムスターにとって、下痢による脱水症状は命の危険があります。
下痢が続く場合は様子を見ながら獣医師に相談しましょう。
毛並みが悪い・脱毛
ハムスターはきれい好きなので毛づくろいをしている姿を見かけることも多いのではないでしょうか。
毛づくろいは毛並みを整えるだけでなく、リラックスしている状態にすることが多いしぐさです。
そのため、いつもきれいなはずの毛並みの状態が悪い、脱毛して皮膚が見えているなどの症状があれば注意するようにしましょう。
体温が下がる
ハムスターだけでなくほとんどの動物は、死ぬ前になると体温がだんだん下がっていきます。
ペットちゃんの体が冷たいと感じたら、死が迫っているサインかもしれません。
ハムスターが動かないのは死ぬ前だから?疑似冬眠の確認と回復方法
ハムスターが動かなくなった場合は「体力が限界を迎えている」か「疑似冬眠」かを見分けましょう。
「疑似冬眠」とは、ハムスターの体温が急激に下がったことが原因の仮死状態のこと。
やがて命を落としてしまう危険な状態です。
疑似冬眠に入る原因
ハムスターが疑似冬眠に入る原因として、以下の3点が考えられます。
【温度の急激な低下】
ハムスターは寒さに弱く、気温がが10度以下になると活動が鈍くなり5度以下で疑似冬眠に入ります。
そのため部屋を温かくしたり、ケージ内にヒーターを設置するなど寒さ対策をする必要があります。
【ケージ内の日商不足】
ハムスターは夜行性です。
昼夜の区別が付かずに生活リズムが狂うとストレスで弱って疑似冬眠に入ることがあります。
【エネルギー不足】
疑似冬眠はエネルギーが不足することでも起こります。
十分なエサがなく、室温が下がっていると疑似冬眠に入ってしまうケースが多いです。
疑似冬眠と死後硬直の見分け方
動かなくなったハムスターを見て「力尽きてしまった」と諦めてしまう方も多いです。
しかし、疑似冬眠中に適切な処置をすれば、蘇生できる可能性は十分にあります。
そのために、まずは落ち着いてハムスターの状態を観察するようにしましょう。
【死後硬直の場合は体が固くなってしまう】
死後硬直と疑似冬眠の違いは、体の状態と温度で見分けられます。
体の状態 | 体の暖かさ | |
死後硬直 | ・体が硬くなっている ・鼓動などの生命反応がない | ・冷たい |
疑似冬眠 | ・体が柔らかく弾力がある ・生命反応がある | ・温かい |
死後硬直は死亡後に起こる反応のため、鼓動や呼吸などの生命反応は無くなってしまいます。
対して、疑似冬眠は普段に比べて回数が減りますが、生命反応を確認できます。
「お腹が動いているか」「呼吸でヒゲが動いていないか」などの方法で確認することに加えて、体がまだ暖かい場合は回復させることができるかもしれません。
次に紹介する方法で回復を図ってみましょう。
疑似冬眠から回復させる方法
ハムスターが疑似冬眠した場合でも、体を温めてあげることで回復する可能性があります。
ただし、暖房などで急速に体を温めることはハムスターの心臓に多大な負荷を掛けてしまいます。
以下の方法で、まずは体温でゆるやかに温めてあげましょう。
疑似冬眠から目覚めさせる方法 | |
やること | 時間 |
① ・部屋を暖かくして両手でハムスターを包む ・ヒゲが動くなど反応があれば病院へ | 30分程度 (意識が戻らない場合は②へ) |
② ・タオルを巻いたカイロで温める | 1時間程度 (意識が戻らない場合は①に戻る) |
こちらの処置を繰り返しながら、体の弾力や反応も良く見ておきましょう。
体が硬くなった場合は残念ながら死亡していますが、そうでなければ根気よく温めましょう。
ハムスターが目を覚ましたら
無事ハムスターが目を覚ましたら、消費したエネルギーを補給してあげましょう。
人肌程度に温めたお湯に砂糖を溶かした砂糖水やミルクを綿棒を口元まで運んで飲ませましょう。
目を覚ました後もすぐに元気を取り戻すわけではありません。
よく様子を見ておくのはもちろん、心配であれば獣医さんに診てもらいましょう。
【環境を見直す】
ハムスターが無事に回復したら、もう疑似冬眠にならないように環境を改善します。
ペット用ヒーターの導入などで、気温が下がりすぎないように調整してあげましょう。
また、回復したハムスターがエサや飲み水をしっかり摂っているかも確認しましょう。
最期が近づいているハムスターにしてあげられること
大切にお世話をしたハムスターとも、いつかはお別れの時が来ます。
この章では死ぬ前に見せる症状が現れた際に飼い主様がしてあげられることをご紹介します。
ハムスターの性格や状態をよく観察して、安らかな最期を迎えられるようにしてあげましょう。
旅立ちの瞬間まで見守ってあげる
筆者は犬や熱帯魚など様々なペットと暮らしましたが、一度も看取ってあげられたことがありません。
それを今でも後悔していますが、その原因はきちんとお別れが言えなかったためだと思っています。
生活がある以上、どうしてもタイミングがあわないことはあるかもしれません。
しかし、看取ることが難しくてもせめて感謝の言葉くらいは伝えられれば良かったと今でも思います。
そのため、ペットちゃんの最期にはそばに居て、安心できるように声をかけてあげましょう。
いつも通り過ごさせてあげる
ペットちゃんとの最期はできるだけ一緒に居てあげたいもの。
しかし、必要以上に触ったり動かしたりすると、ハムスターにストレスを与えてしまいます。
いつも過ごしている場所でいつも通り過ごせるようにしてあげましょう。
【大切なハムスターのためにしてあげられることは?】
獣医師から食事制限をされておらず、食欲がある場合は好きな食べ物をあげるのもいいでしょう。
食べやすいように細かくして、口の近くまで持っていってあげると食べやすくなります。
また、寂しい話ではありますが、ハムスターが旅立った後のことを考えておくことも大切。
具体的には「供養方法の選択」や「遺体を安置するための準備」をしておくことです。
ハムスターの死後にやる事は下記のブログにまとめています。
悔いのないお別れになるよう、参考にしてください。
ハムスターが亡くなったあとにしてあげられること
大切なペットちゃんですから、亡くなった後も最後まで供養してあげたいですよね。
この章ではハムスターが亡くなった後にしてあげられることを紹介します。
火葬することで、悔いなくお見送りできる
ハムスターも他のペットちゃんと同じように火葬することができます。
適切な火力調整を行えばお骨を残すこともできます。
きれいにお骨を残してもらえるように、ハムスターの火葬実績がある業者(小動物に対応できる設備が揃っている)への依頼するようにしましょう。
【ハムスターのお骨を残すメリット】
お骨を残すことで、供養方法の選択肢を広げることができます。
具体的には「臭いのリスクを抑えて埋葬できる」「アクセサリーへの納骨など、手元供養の布石になる」など、飼い主様の希望に沿った方法でお見送りができるようになります。
続いて、ハムスターの主な供養方法についてご紹介します。
ご自宅の庭に埋葬
私有地であればご自宅の庭に埋葬することができます。
ご自宅の庭にお墓を建ててあげることで、いつでもハムスターの元気な様子を感じることができるうえ、場所を取らず埋葬できるため、体の小さいハムスターに向いている方法です。
【埋葬する際のルール】
ただし、埋葬する際は必ず私有地で行うようにしてください。
ペットの遺体は一般廃棄物扱いのため、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の違反となり、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方に処される可能性があるからです。
あわせて、ハムスターの遺体を埋めたことで飲み水や周辺の畑に悪影響を与えないために周辺に水源や畑がないことも考慮する必要があります。
*参考サイト
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
プランター葬
庭がない場合はプランターに埋葬するプランター葬がおすすめです。
場所を取らないメリットがあり、ハムスターのイメージにあうお花を植える楽しみもあります。
お墓や納骨堂に納骨
最近はペット葬儀業者にて火葬を依頼して供養する方法を選ぶ方も多いです。
火葬された遺骨をそのままお墓や納骨堂などに納骨してもらえます。
手元供養
火葬してもらったあと、遺骨を骨壺に入れたままご自宅で安置される方もいらっしゃいます。
また、遺骨を入れることができるミニ仏壇やアクセサリー・オブジェなどもあります。
散骨
遺骨をパウダー状にして、山や海へ散骨してくれる散骨業者もあります。
ご自身で散骨する場合は、場所によって許可が必要な場合もありますので確認しましょう。
その他にも供養についてわからないことがある場合や、やってほしいことがあれば火葬業者に連絡して直接聞いてみるのもおすすめです。
ハムスターを長生きさせるためにできること
ハムスターは寿命の短い動物ですが、少しでも長生きできるように支えてあげることはできます。
大切なペットちゃんと少しでも長く過ごせるように、気をつけてあげましょう。
日々の健康チェック
ハムスターのように小さな動物は、体の大きな動物に比べとてもデリケートです。
小さな病気でも死に至ることもありますので、日々ペットちゃんの健康チェックをしてサインを見逃さないようにしましょう。
チェックするポイントは以下の5点です。
チェックした結果気になる事がある場合は、獣医さんに診てもらう事も大切です。
体重管理
人間もハムスターも肥満や痩せすぎは体に負担がかかります。
日々体重管理をして、太ってきた場合は運動や餌などで調整しましょう。
ペットちゃんの体重は飼い主様の管理がとても大切です。
種類や性別・体格によって適正体重は違います。
まずは正しい適正体重を把握することが重要です。
キッチンスケールなどを使い、週に一度程度の頻度で、なるべく同じ時間に測定しましょう。
環境を整える
ハムスターが過ごしやすいようにケージの中をレイアウトしてあげましょう。
「小屋」は、ハムスターが人の目線や音から隠れてリラックスして過ごせるスペースです。
そのため、ケージの奥に配置してあげることが重要です。
そして衛生面も整えてあげる必要があります。
例えば、餌や給水ボトルの水の入れ替えを怠ると傷みますし、排泄物をそのままにしていると菌が発生して、病気にかかってしまうこともあります。
餌や水は毎日交換し、ケージの中は定期的に掃除して清潔な環境を整えてあげましょう。
部屋の温度調整
人間と同じようにハムスターも気温が高くなると熱中症になってしまいます。
飼い主様が外出している間もクーラーを入れて、27度を超えないように調整してあげましょう。
逆に、気温が15度を下回るほど低いと疑似冬眠してしまうこともあります。
疑似冬眠をすると体に負担がかかり、最悪の場合死に至ります。
小動物用のペットヒーターを使用したり、ケージを置いている部屋の温度を18度以上に保つことで冬眠状態になるのを防ぎ、安全に冬を越しましょう。
ストレスを減らす
ストレスは体に悪い影響を与え、病気のリスクを高めてしまいます。
ゆっくり寝られるように静かで過ごしやすい場所にゲージを置き、適度に運動させてあげましょう。
まとめ
ハムスターは死ぬ前に「食欲を無くす」「寝ている時間が長くなる」「毛並みが悪くなる」など、見た目に変化が現れることが多いです。
特に、下痢をしている場合は脱水症状で死因につながる可能性があるため、早めに病院に連れていきましょう。
大切な家族であるハムスターなので、死ぬ前の症状が見えたら誰もが慌ててしまうでしょう。
しかし、最後だからといって必要以上に触ってしまうと、ハムスターにとってはストレスになってしまうこともあります。
そのため、まずは落ち着いて、ハムスターが安心して最後を迎えられるよう、声をかけたりして優しく支えてあげましょう。