
ペットちゃんが、ある夏の日、旅立ってしまった——。
大切な存在を失った悲しみに、何も手に付かなくなってしまうのは仕方のないことです。
けれど、愛するペットちゃんをいつもの可愛らしい姿で送り出してあげたい、というのも飼い主様の想いだと思います。
夏場は、気温も湿度も高く、ほかの季節に比べてご遺体の腐敗が進みやすいのです。
別れがたいからと、そのままの状態でいさせては、ペットちゃんから腐敗臭や死臭が発生してしまい、可哀そうな姿にしてしまうかもしれません。
ペットちゃんのためにも心を強く持って、できるだけ早く保冷・安置をしてあげましょう。
とはいえ、特別な道具は必要ありません。
保冷剤やタオルなど、ご自宅にあるものでも十分に対応できますので、ご安心くださいね。
あとから後悔しないよう、その正しい方法を、ペット葬儀士がわかりやすく解説します。どうぞ最後までお読みください。
夏にペットが亡くなると、なぜ腐敗臭や死臭が発生しやすいの?

気温と湿度が高い夏は、ペットちゃんのご遺体の腐敗がほかの季節よりも早く進みます。
腐敗は体内の細菌が増えることで進行し、その過程でいわゆる「腐敗臭」や「死臭」と呼ばれる独特の臭いが発生します。
これはどんな生きものにも起こる自然な変化であり、決して飼い主様のケアが足りないからではありません。
ただ、夏はそのスピードが速いため、早めに正しく対処してあげることが、ペットちゃんをきれいな姿のまま見送るための鍵になります。
気温が高いほど腐敗の進行は早まる
細菌は温かく湿った環境で活発に増えるため、室温が高い夏はご遺体の変化が早く進みます。
何も対策をせずに室温のまま置いておくと、数時間から半日ほどで臭いを感じ始めることもあります。
だからこそ、亡くなったあとはできるだけ早く冷やし始めることが大切です。
体が大きいペットちゃんほど、腐敗は進みやすい
ご遺体の腐敗は、体の中にいる菌の働きによって進み、気温が高いほど早まります。
そして体が大きいペットちゃんほど熱がこもりやすく、エアコンや保冷剤、ドライアイスを使っても体の内側まで冷やしきるのが難しいため、腐敗が早く進む傾向があります。
たとえば大型犬や中型犬は、猫ちゃんや小型犬に比べて腐敗が進みやすく、その分、腐敗臭や死臭も感じやすくなります。
反対に、ハムスターや小鳥などの小動物は冷えた状態を保ちやすいため、比較的長く安置できることが多いです。
つまり、体が大きいペットちゃんほど、早めにしっかり冷やしてあげることが大切になります。
「腐敗臭」と「死臭」は何が違う?
「腐敗臭」は、ご遺体の腐敗が進む過程で生じる臭い全般を指します。
一方で「死臭」という言葉は、その腐敗臭をより強く感じる段階を表す言い方として使われることが多い表現です。
犬ちゃんや猫ちゃんなど体の大きいペットちゃんは腐敗臭や死臭を感じやすい傾向がありますが、いずれの場合も、適切に冷却・安置すれば臭いの発生は大きく抑えられます。
「ペットの遺体が臭うのではないか」と心配されている飼い主様も、これからご紹介する方法を知っておけば、落ち着いて準備を進められます。
❄️ 腐敗臭・死臭を防ぐ|夏場のご遺体の冷やし方

夏場に腐敗臭や死臭を防ぐうえで、もっとも大切なのがご遺体の冷却です。
ここでは、ご家庭でできる具体的な冷やし方をご紹介します。
ドライアイスや保冷剤でしっかり冷やす
腐敗の進行を抑えるには、ドライアイスや保冷剤での冷却が有効です。
特に冷やしたいのは、内臓が集まっていて菌が繁殖しやすい腹部(お腹)と頭部です。
この2か所を重点的に冷やすと、腐敗の進行を効率よく抑えられます。
必要なドライアイスの量は、ペットちゃんの体重や安置する日数によって変わります。1日あたりの目安は次のとおりです(※1)。
| ペットちゃんの体重 | 1日あたりのドライアイスの目安 |
|---|---|
| 5kg未満 | 2kg×1枚 |
| 5〜10kg | 2kg×2枚 |
| 10〜25kg | 2kg×4枚 |
| 25kg以上 | 2kg×6枚(計12kg) |
体が大きいペットちゃんほど多くのドライアイスが必要になります。溶けて足りなくなる前に、早めに追加してあげましょう。
保冷剤を使うときは、溶けきってしまう前に、こまめに新しいものと取り替えてあげましょう。
水滴がご遺体に付くと、毛や皮膚を傷める原因になります。
保冷剤も布で包んでから添えると、水滴が付くのを防ぎ、ペットちゃんをきれいな状態のまま保てます。
冷蔵庫での安置は、やむを得ない場合に限って
ハピネスでは、衛生面の観点から、冷蔵庫でのご遺体の安置は基本的におすすめしていません。
ただし、小鳥やハムスターなどの小型のペットちゃんで、どうしても長い期間の安置が必要といったご事情がある場合には、衛生面に十分注意したうえで、家庭用の冷蔵庫を使う方法もあります。
その際は、衛生面を考えて、ビニール袋や密閉できるタッパー容器などに入れ、食品とご遺体が直接触れないように分けて保管してあげてください。
エアコンと扇風機で室温・湿度を管理する
ご遺体を安置する部屋は、エアコンを常時稼働させ、室温をおよそ20度以下に保つのが目安です。
扇風機を併用して空気を循環させると、より効率よく冷やせます。
さらに、夏は湿気も腐敗を早める原因になります。
冷房で室温を下げると湿度もある程度は抑えられますが、それでも気になるときは、除湿機をあわせて使うとより効果的です。
直射日光が当たると室温が上がってしまうので、カーテンやブラインドを閉め、暗く涼しい場所に安置してあげてください。
これらを組み合わせれば、夏場でもペットちゃんのご遺体を、より長くきれいな状態で保てます。
🌸 ご遺体の臭いを抑える安置とケア

冷却とあわせて行いたいのが、臭いの発生源そのものを抑えるための安置とお手入れです。
体液の漏れを防ぎ、臭いの発生源を断つ
亡くなったあとは体の筋肉がゆるみ、血液や体液、排泄物が口や鼻、お尻などから漏れ出やすくなります。
これらは臭いの大きな原因になるため、漏れを防ぐ処置をしてあげることが、腐敗臭を抑える第一歩になります。
口や鼻、お尻などに、コットンやガーゼをやさしく詰めてあげると、体液の漏れを抑えられます。
こうした亡くなったあとのお手入れは「エンゼルケア」と呼ばれます。
エンゼルケアの具体的な手順は、こちらのコラムでご紹介しています。こちらもあわせてご確認ください。
さらに、ご遺体の下に吸水性の高いペットシーツや新聞紙を敷いておくと、万が一の漏れも受け止められて安心です。
汚れたら体を拭き、タオルやシーツを交換する
ご遺体が汚れてしまったときは、やさしく拭いてあげ、汚れたタオルやペットシーツは交換しましょう。
漏れ出した体液がご遺体やタオルに付着したままだと、そこから腐敗や臭いが進んでしまいます。
やさしく拭いてあげることは、ペットちゃんを清潔に保つだけでなく、飼い主様が最後の時間をそばで過ごすひとときにもなります。
臭いの原因が「腐敗」か「不衛生」かを見極める
しっかり冷やしていても、まわりが不衛生なままだと臭いが出てしまうことがあります。
気になる臭いがご遺体の腐敗によるものなのか、それとも汚れたタオルなど不衛生な状態によるものなのかを見極めることが大切です。
不衛生が原因であれば、タオルやシーツの交換、拭き取りで多くは改善します。
状況を正しく把握して適切に管理すれば、ペットちゃんをきれいな状態のまま火葬してあげられます。
⏳ 腐敗臭が強くなる前に|夏の火葬は1〜2日以内が目安

ご遺体を安置できる期間の目安は、夏場で1〜2日、冬場で2〜3日とされています。
ただし、体が大きく腐敗が進みやすい大型犬・中型犬は、この期間内であっても、できるだけ早めの火葬がおすすめです。
高温多湿な夏は腐敗が急速に進むため、火葬はできれば1〜2日以内に行いましょう。
腐敗が進むと臭いが強くなるだけでなく、細菌が増えて衛生面のリスクが高まることもあります(※2)。
また、大切なペットちゃんのご遺体が傷み、体液がにじみ出ていく様子を目の当たりにするのは、飼い主様にとって本当につらい経験です。
早めの火葬は、こうした衛生面の不安だけでなく、飼い主様の心の負担をやわらげる意味でも大切です(※3)。
火葬の手配を含め、亡くなったあとにやるべきことや手続きの全体の流れは、こちらの記事でわかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください。
どうしても4日以上安置したいときは
ご事情があって、4日以上の長い期間ご遺体を安置したい場合もあるかもしれません。
そのときは、大量のドライアイス(3日以上の安置で10〜20kgが目安)を使い、2日に1回ほどのペースで交換します。
さらに、保冷性の高い発泡スチロールの箱などにご遺体を入れると、冷えた状態を保ちやすくなります。
ただし、ドライアイスを使っている場合は、気化したガスがこもると危険なため、ふたは完全に閉めきらず、すき間を空けておきましょう。
それでも夏場の長期保存はご遺体への負担が大きいため、可能な限り早めに火葬の日程を決めることをおすすめします。
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ハピネスは火葬車でご自宅までお伺いするため、火葬の間も、飼い主様は冷房の効いた室内で涼しくお待ちいただけます。お別れのセレモニーをご自宅の中で行える「自宅セレモニー葬」もご用意していますので、暑い時期でも、落ち着いてペットちゃんとの最後の時間を過ごしていただけます。
夏場のご遺体の冷やし方・安置方法のご相談はもちろん、無料見積もりのご依頼も24時間承ります。お気軽にご相談ください。
急いでいても、火葬業者は料金やサービス内容を調べてから選ぶ

ご遺体の腐敗を心配するあまり火葬を急ぎ、誤って悪質な業者に依頼してしまうと、トラブルに巻き込まれる恐れがあります(※4)。
落ち着いて、料金やサービス内容を確認し、複数社を比較してから選びましょう。
適正な料金設定をしているか
まずは火葬サービスの料金設定を確認しましょう。
他社と比べて極端に安い業者には注意が必要です。
はじめは低価格を案内されたのに、火葬後に高額なオプションや追加料金を請求された、というトラブルもあります。
ホームページで料金を確認し、複数社で相見積もりを取ると安心です。
会社情報やサービス内容が記載されているか
優良なペット火葬業者は、料金だけでなく、所在地や連絡先、サービス内容など、運営に関する大切な情報をきちんと公開しています。
実際の利用者の口コミを掲載している業者を選ぶのもよいでしょう。
スタッフの対応は丁寧か
電話対応やメールの返信の早さ、ていねいさも確認したいポイントです。
対応がずさんな業者は、社員教育が行き届いていない可能性があります。
まとめ
夏のペット火葬では、ご遺体の腐敗と、腐敗臭・死臭への対策がとても重要です。
高温多湿による急速な腐敗を防ぐため、保冷剤やドライアイスでの冷却は欠かせません。
特に大型犬・中型犬は腐敗が進みやすいため、体の大きさに合わせて多めのドライアイスで、腹部と頭部を重点的に冷やしてあげましょう。
あわせて、体液の漏れを防ぐ安置、タオルやシーツのこまめな交換、エアコンによる室温・湿度の管理も効果的です。
火葬はできれば1〜2日以内が望ましいですが、難しい場合も、しっかり冷やしながらなるべく早く日程を決めましょう。
夏ならではの対策を整えて、大切なペットちゃんとの最後のお別れに、後悔なく備えてあげてください。
【参考サイト・文献】
※2 「事業者等における適切な御遺体の取扱い等に関するガイドライン」厚生労働省
※3 Chie NIKAIDO・Takatoshi ANDO「ペットと死別した高齢者の適応を支えたもの」横浜国立大学大学院環境情報学府
この記事の執筆者
ペット火葬
ハピネス 編集部 S・A
愛犬・愛猫・愛鳥など8匹以上を見送った経験を持ち、現在も愛犬と暮らす動物愛好家。初代愛犬を満足に供養できなかった経験からペット火葬ハピネスへ入社。あたたかなペット葬儀のための情報を発信。私生活では動物保護ボランティアへの支援を行っている。















