ウズラには突然死が多いと言われますが、これは体調の悪化を隠してしまうため対応が遅れるからと考えられます。
悔いのない別れのためにも、死ぬ前の兆候や老化のサイン、供養方法、長生きのためのコツを解説いたします。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ウズラの老化現象と死ぬ前の兆候、体調不良の状態を解説
ウズラも人間と同様、老化が進めば筋力や体力が衰えます。
以下のような兆候が見られた場合、死期が近づいていると判断できますので心の準備をしておきましょう。
ウズラの老化のサイン
- 活動量が減りあまり動かなくなる
- 食欲が落ちエサや水をあまり摂らなくなる
- 脚力が落ち、ふらついた歩き方になる
ペットのウズラの寿命は7~8年(産卵するメスは2年ほど)と言われていますが、若くして突然死することもあります。
ウズラは臆病でストレス耐性が低く、体調が悪くても隠してしまうため、気付かない内に衰弱死することがあるようです。
外見や行動に異変が見られた場合は速やかに動物病院を受診し、適切な治療と飼育環境の見直しをしましょう。
2羽以上で飼育しているなら、病気がうつるリスクもあるため隔離してください。
すぐに対処できれば愛するウズラとの早すぎる別れを防ぐことができるかもしれません。
体調不良と体の異常を見間違えないように注意
ウズラが体調を崩した場合は、単なる体調不良か体の異常かを見分けることが大切。
体調不良の場合はエサや環境を見直せば改善されることもありますが、体の異常の場合は迅速に対処が必要です。
体調不良状態
- 首を羽の中に入れて眠る
- 羽を膨らませた状態でじっと動かない
- 下痢をしている
- ずっと震えている
- 頻繁にげっぷをする
ただし、以下の兆候が見られた場合は、病気など死に至る可能性があります。
獣医さんに診察してもらうなど適切な治療が必要です。
体の異常
- エサを食べているのに痩せている
- 腹部、背中などの体毛が抜けている
- 片目が腫れている
- 産んだ卵の状態がおかしい(殻が薄い・殻の色が青っぽいなど)
- 口で呼吸をしている
- メスのお尻から赤い物が出ている(オスは肛門に赤い突起があるため、見間違いに注意)
- 嘔吐・出血が見られる
ウズラが死んでしまった場合は適切な方法で安置しよう
ウズラが死んでしまったら適切な方法で安置し、遺体がきれいな状態を保てる1~3日以内を目安に葬儀を行いましょう。
ウズラの安置方法
①濡らしたタオルなどでウズラの体をきれいに拭いてあげましょう。
②死後2時間程で死後硬直が始まるので、それまでに目を閉じ寝ているような楽な体勢に整えます。
③ウズラの遺体が納まる大きさの箱を準備します。
※遺体から体液が漏れ出てしまうことがあるので、ペットシーツやタオルなどを敷いてから遺体を納めましょう。
④保冷剤やドライアイスを布で包み、遺体のまわりに敷き詰め冷やします。
・遺体を安置する際の注意点
ドライアイスを使用する場合は、棺を密封せず隙間を空けるか小さな穴をいくつか開けておきましょう。
棺を密封するとドライアイスが気体化する際、内部圧が上昇し容器が破裂する恐れがあります。
⑤直射日光が当たらない風通しが良い場所に安置し、保冷剤はこまめに取り替えます。
この方法で3日間ほど遺体をきれいな状態で保つことができます。
悔いのないお別れのための準備と葬儀・供養方法の選択
副葬品はどうするか、形見は残すのか、遺骨の供養の仕方など飼い主様が納得できる方法を選びましょう。
お別れの準備をする
大切なウズラを悔いなく見送れるように「副葬品の準備」と「形見の確保」を行って、お別れの準備をしましょう。
副葬品とは、ペットちゃんを思って棺にお供えする品のことです。
ウズラの好物や思い出の写真など、天国に持って行ってもらいたいものを用意しましょう。
ただし、火葬を依頼する場合はプラスチック製品など、一緒に火葬してもらえない品もあるため注意が必要です。
おやつなど燃えやすい品を選ぶか、事前に入れていい品を確認しておくと良いでしょう。
また、形見の品には羽や足型を選ぶのがおすすめです。
筆者は飼っていた猫のヒゲを桐箱に入れて保管し、紙粘土に足型を取って大切に飾っています。
ペットちゃんとのつながりを感じさせてくれる形見は、飼い主様の心を支えてくれるはずです。
葬儀・供養方法を選択する
お別れの準備が整ったら、葬儀・供養方法を選択します。
・火葬なら人と同じように弔うことができ、供養方法の選択肢も多い
火葬を依頼する最大のメリットは、飼い主様の希望の方法で供養できることです。
火葬後もペットちゃんと一緒に過ごしたいなら「返骨してもらって手元供養」を選ぶのがおすすめです。
ペットちゃんを身近に感じられる「手元供養」
- 祭壇を作る、庭に埋葬、遺骨アクセサリーにして身に付けるなどの方法で供養する。
- 見送った後もペットちゃんをそばに感じられる。
ペットちゃんが安らかに眠れることを願う場合は「霊園に埋葬」するのがおすすめです。
また、ペット霊園に埋葬する場合でも個別墓地や合同墓地、霊座(納骨堂)への納骨など、多様な方法から選択できます。
・よりペットちゃんを身近に感じたいなら「埋葬」もおすすめ
自宅の庭に埋葬すれば、いつでもお墓参りができペットちゃんを身近に感じられます。
ただし埋葬できるのは私有地のみのため、賃貸物件はもちろん公園や河原などに埋葬することはできません。
また、野生動物に掘り起こされたり臭いが漏れたりしないよう徹底した管理が求められます。
自由にできるお庭がない場合は、プランター内に埋葬するプランター葬もおすすめです。
虫が湧いたりしないように管理が必要ですが、この方法なら賃貸物件でも埋葬による手元供養が可能です。
プランター葬のメリット
- 庭への埋葬と比べて管理しやすい
- 花を植えることができる
- 植えた花のお世話がペットロス解消に役立つことがある
・火葬と埋葬はどちらが人気?
株式会社エイチームライフスタイルが実施したペット供養に関する調査によると、葬儀方法は火葬が人気のようです。
民間施設での火葬(45.8%)、公営施設での火葬(26.1%)、民間訪問火葬業者(10.9%)を合わせると8割以上です。
自宅の庭に土葬(12.1%)する方は、時代とともに減っています。
ペットちゃんを人と同じように弔いたいと考える飼い主様の増加や住宅事情の変化がその要因と考えられます。
※参考サイト
ペットと一緒にお墓に入りたい人は4割以上!最愛のペットの気になるお墓事情(株式会社エイチーム:2020年)
ウズラを自宅で埋葬する方法とプランター葬のやり方をご紹介
埋葬時の注意事項は「適切な方法で行う」「土に還るまで10年はかかる」「管理を怠らない」の3つです。
庭への埋葬でもプランター葬でも、遺体が土に還るまでの過程で臭いや虫が発生することがあります。
臭いや虫の発生を防ぎたい場合は、火葬して遺骨にしてから埋葬するのが良いでしょう。
自宅の庭に埋葬する方法
①必要な物を用意する
・スコップなどの土を掘る道具
・木炭やダンボール、石灰など腐食しやすいもの
・天然素材100%の布
・墓標となる石や木
②1~2mほどの穴を掘る
※穴が浅いと野生動物に掘り返されたり、臭い漏れしたりすることがあるので注意しましょう。
③穴の底に腐食しやすい物を敷く
※木炭やダンボール、石灰を敷く。とくに石灰は消毒・消臭効果が期待できるのでおすすめです。
④布で包んだペットちゃんの遺体を穴の底へ寝かせ、土を戻して墓標を設置する
※遺体が土に還った際に地中に空間ができて陥没するため30㎝ほど土を盛るようにしてください。
プランター葬のやり方
①必要な物を用意する
・陶器製で深さが30㎝以上あるプランター
・腐葉土
・堆肥
・防虫ネット
・天然素材100%の布
②プランターの底に防虫ネットを敷き、土を10㎝くらい入れる
③天然素材の布を敷き、遺体を寝かせ、その上にまた天然素材の布を被せる
※遺体の上下に堆肥を入れることで早く土に還れます。
④土を10㎝ほど被せる
※花を植えるなら、お墓の上にプラスチックネットを敷いてからさらに土を入れ、そこに植えましょう。
ウズラの寿命を延ばすためにできる3つのこと
ウズラを元気に長生きさせるために病気や事故を防ぐコツを3つご紹介します。
日光浴させる
ウズラは日光浴により体内にビタミンDを生み出します。
ビタミンDはカルシウムの吸収に必要なため、日光を浴びないとカルシウムの吸収率が悪くなります。
カルシウム不足は骨折や卵詰まりなど、ウズラの寿命を縮める原因になります。
そのため、日光浴はウズラの寿命を伸ばすために必要不可欠です。
1日2~3時間ほど庭やベランダで日光浴させてあげましょう
その際、猫やカラスに狙われないよう対策することに加えて、ケージからの脱走にも注意してください。
日光浴の際は出来る限り見守ってあげるのがおすすめです。
かかりつけ医を探しておく
ウズラの場合でも犬や猫と同じように1年に一度は健康診断を受けるのが理想的です。
できれば飼い始める前に、通える場所にウズラを診察できる動物病院があるか確認しておいてください。
さらに言えば「診察できる」ことに加えて「鳥・小動物の専門医が診てくれる」ことも重要。
大切なウズラが体調を崩した場合に、的確な診断と処置をしてもらうためです。
ウズラのかかりつけ医の選び方
- 距離が近い
- アクセスが良い
- 鳥類専門の獣医さんが在籍している
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 休日の診察も可能
- 口コミが良い
卵を産ませすぎない
体力を消耗し寿命を縮める原因になるため、できるだけ産卵数を減らす工夫をしましょう。
産卵を減らす方法
- 夕方には部屋を暗くして早寝させる
- 低脂質のエサにする
- 背中を撫でるなどの発情を促す行為をしない
- 巣と認識するものを置かない
- 発情相手(オス、鏡、おもちゃなど)を近づけない
- 多少の寒暖差を付ける
- 梅雨~夏は湿度を下げる
上記の対応をしても、完全に産卵を抑えることはできません。
発情期や産卵期には高カロリーで高脂質なエサに切り替え、カルシウムを多く摂取させ卵詰まりを予防しましょう。
まとめ
ウズラが死ぬ前には、老化による行動の変化の他にも体毛が抜ける、嘔吐など病気による異変が見られることもあります。
いつもと違う様子はないか毎日よく観察し、異変が見られた際には病院を受診するなど、すぐに対処しましょう。
また、亡くなってからではじっくり検討しにくいため、葬儀・供養方法は生前から考えておくことをおすすめします。