かわいい家族の一員である文鳥には少しでも長生きしてもらいたいもの。
そのためには飼育中に起こりやすい事故の防止や、かかりやすい病気を把握して予防することが大切です。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
文鳥の平均寿命
文鳥の平均寿命は7~8年ですが、飼育環境が良ければ10年生きることもあるそうです。
また、性別によっても違いがあり、メスは産卵のトラブルによって寿命が短くなる傾向があるため、オスの方が平均寿命が長い場合が多いです。
文鳥の寿命を縮めるトラブル
文鳥の平均寿命を伸ばすためには、飼育中に起こりやすいトラブルを把握するのがおすすめです。
食べてはいけないものを食べた
犬や猫と同じようにチョコレートやアルコールなど人間の食べ物を与えるのは厳禁です。
また、文鳥は金属を口にすると重金属中毒を発症します。金属はカーテンウェイトや釣り用の重り、銅や亜鉛は電源コードや硬貨など日用品にも含まれているため、放鳥中にうっかり口にしてしまうケースも考えられます。
放鳥中の事故
放鳥は文鳥のストレス軽減や飼い主とのスキンシップなど色々なメリットがありますが、カゴの外に文鳥を出した場合は事故にあわないように慎重に様子を見る必要があります。
中でも放鳥中にうっかり踏んだり、扉に挟んでしまうアクシデントが多く、ネットにも多くの体験談が寄せられています。
文鳥に多い死因
文鳥が亡くなる原因になる事柄を紹介します。
特に、メスの文鳥は産卵時のトラブルに注意が必要です。
卵詰まり
体質や体調が原因で卵が正しく排出されない状態を卵詰まりと言います。
メスの文鳥の死因として最も多い症状ですが、ペアがいない場合でも発情する時期や産卵できる環境などの条件が揃えば無精卵を産むため、繁殖させる気がない場合は飼い主様が産卵しないように対策してあげる必要があります。
卵管脱
産卵時の力みや卵詰まりが原因で体内の卵管が外に出てしまうことです。
文鳥が自身の卵管をつついて傷つけることがあるうえ、体外に長く出た状態だとやがて壊死してしまうため、早めに動物病院で対処してもらう必要があります。
後追い
ペアで飼育していた文鳥の片方が亡くなった場合は、その日から数週間後に残された文鳥も亡くなってしまう「後追い」という現象に注意が必要です。
後追いが起こる理由はまだわかっていませんが、文鳥はそれほどまでに感受性が高く、愛情深い鳥なのです。
突然死
ストレスに弱い文鳥は環境の変化や病気の発症で突然死することも多いです。
カゴの中を適温に保ち、栄養管理を徹底して体調管理を行うのはもちろん、文鳥のストレス管理も行うようにしましょう。
文鳥の寿命を伸ばすためにできること
可愛い文鳥と少しでも長く一緒に過ごすためには、健康に気を配り、ストレスを減らしてあげることが大切です。
文鳥の健康チェック
日々のお世話に加えて、その日文鳥が健康に過ごせているかどうかも確認しましょう。
フン
健康な際のフンを知っておけば、体調不良に気付きやすくなります。
健康な文鳥のフンは白っぽい尿酸で包まれていますが、体調を崩した場合は赤色が混ざったり、形が崩れたりします。
くちばしの色
健康な文鳥のくちばしは鮮やかな赤・ピンク色をしていますが、これはくちばし内に通っている血管の色です。
すなわち、文鳥のくちばしの色は人間でいう顔色と同じであり、体調が悪ければ血の気が無くなって白っぽくなったり紫色になったりと体調のバロメーターとすることができます。
アイリング
文鳥の瞳を囲っている赤っぽい部分をアイリングと言います。
このアイリングも毛細血管を通して見える血液の色のため、体調を崩した場合は紫っぽくなったり色が薄くなったりします。
飼育環境を整える
文鳥が快適に過ごせるよう、飼育環境を適切に整えてあげましょう。
発情予防
文鳥にとって産卵は命がけの作業です。繁殖させる予定がない場合は発情させないようにして、産卵を防ぎましょう。
具体的には発情したメスの文鳥が体の位置を低くして尻尾を振るポーズを見せている際には文鳥の気をそらして中断させたり、ペアがいると勘違いしないように文鳥の姿が映る鏡を近づけないようにすれば、発情の予防になります。
かかりつけの病院を探しておく
犬や猫を診察してくれる動物病院は多いですが、文鳥のような鳥類を専門的に診てくれる病院は意外に少ないです。
いざという時にすぐ診察してもらえるように、近くで文鳥を診てもらえる動物病院をピックアップし、夜間診療も可能か確認しておきましょう。
記録を残す
かわいいペットである文鳥と過ごした日々の記録として写真や動画を撮影する飼い主様も多いですが、元気な姿を記録として残しておくと「いつもよりアイリングの色が薄い」など不調に気付きやすくなります。
何より、元気で可愛い姿を記録に残しておけば大切な思い出になります。
事故を避ける
文鳥と触れ合う放鳥は文鳥だけではなく、飼い主様にとっても大切な時間です。
安全に遊べるように、ドアや窓などロストにつながる部屋からの出口は閉めておき、挟まれたり下敷きになる恐れがあるものは片付けておきましょう。
筆者はオカヤドカリを飼育していた時、ヤドカリの数が足りないことに気付いて水槽内をよく確認するとヒーターと水槽の隙間に挟まっているところを発見したことがあります。発見がもう少し遅ければ手遅れになっていたかもしれません。
このようにペットちゃんの行動や起こるかもしれない事故のすべてを予測するのは難しいため、いざ起こったときにどうやって対処するか、いざという時を見逃さないように観察することが大切です。
文鳥を見送る際に考えたいこと
悲しいですが、文鳥もいつかは寿命を迎えます。
その際には、悔いを残さないようにきちんと見送ってあげてください。
葬儀をしてあげる
ペット葬儀サービス「ペトリィ」を運営するシェアリングテクノロジー株式会社が行った「ペット供養のスタンダードは?」というアンケートでは「個別葬が望ましい」と回答した方が全体の61.5%と大きな割合を占めています。
また、10~60代の方を対象にした「ペットの葬儀・告別式は「必要」だと考える人の年齢層別割合」でも「必要」と答えた方は年齢を問わず6~8割を超えていました。
体の大きさは違っても、人生を一緒に歩んでくれた大切な家族だからこそ「きちんと見送りしてあげたい」という飼い主様の愛情が伺える結果です。
文鳥も同じです。「どのようにお見送りしてあげたいか」を一番に考えるようにしましょう。
※参考サイト
文鳥の形見を残す
文鳥の供養方法を決めたら、形見の品をわけてもらうことも忘れないようにしてください。
火葬後にお骨を返してもらうこともできますが、ふれあった思い出が残っている羽根など、見ればその子の思い出が蘇る品を残すのがおすすめです。
ペットちゃんの形見を残す際には、こちらのコラムを参考に大切に保管するようにしてください。
残された文鳥のケア
文鳥はペアや同居人を亡くした場合、まるで後を追うように体調を崩してしまうことがあります。
しばらくの間はいなくなった相方を探し回ったり寂しがったりする日が続きますので、飼い主様はこれまで以上に残された文鳥に愛情を注ぎ、コミュニケーションを取ってあげるようにしましょう。
まとめ
文鳥の寿命を伸ばすためには、体調不良に早く気付いてあげることが大切です。
文鳥のクチバシや目の周りにあるアイリングから血色を見ることができるため、色がくすんでいる場合は体調不良を疑い、注意深く様子を見るようにしてください。
また、体調を崩したり怪我をした場合に備えて、近隣で文鳥を見てくれる動物病院をピックアップしておくことも大切です。