ペットちゃんを火葬する際に棺におやつやおもちゃなどを入れてあげたいと考える方も多いです。
しかし、品物によっては一緒に火葬できない物もありますので、棺に入れる品はしっかりと選んであげましょう。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペットの棺に品物を入れる意味
棺に故人の愛用品やお供え物を入れて火葬を行う「副葬品」という文化が世界中に見られます。
これは故人が他界した後も苦労しないように願いを込めて品物を贈る意味がありますが、ペットちゃんの火葬を行う際にも、同じように棺にごはんなどを入れてあげる方も多いです。
一緒に火葬できる品物
旅立つペットちゃんが寂しくならないように、一緒に火葬できる品物をご紹介します。
ただし、ここで紹介した品であっても火葬社のルールによっては火葬できない場合もありますので、事前の確認が必要です。
ごはん・おやつ
「旅の途中でお腹が空かないように」「我慢していた分、たくさん食べてほしい」などの願いを込めて贈る品です。
一食分程度をティッシュなど燃えやすいもので包んで、口元に添えてあげます。
淡い色の花
棺の中に花を飾ってあげるのもおすすめです。
ペットちゃんの場合は人間の葬儀のように贈る花の種類にルールは無いため、ペットちゃんの印象にあわせて好きなものを選べますが、お骨への色移りを防ぐために、淡い色の花を選ぶのがおすすめです。
髪の毛
家族から離れることを寂しがるであろう甘えん坊な子の見送りの際に、髪の毛を入れてあげる飼い主様もいます。
棺に直接入れるのではなく、写真や手紙などに添えるといいでしょう。
飼い主の匂いが残った髪の毛と一緒なら、その子の寂しさも紛れるはずです。
火葬時に入れてはいけない品物
危険であったり、火葬に影響を与える可能性があることから一緒に火葬できない品も存在します。
プラスチック・ゴム・金属
プラスチックやゴムは燃やすと悪臭や有毒ガスを含む煙が発生し、金属は燃えずに残ってしまいます。
一緒に燃やせない素材を含んだ品物は棺に入れることはできません。
【例:ごはんの包装、ボールなどのおもちゃ、首輪の金具】
色の濃い花
ペットちゃんの遺骨に色移りする可能性があるため、色の濃い花は入れないようにするのがおすすめです。
しかし、直前に取り出すなど一緒に火葬しない場合は例外です。ペットちゃんに似合うお花を選ぶことも供養になりますので、火葬することに捉われずに選んでみてください。
お金
ペットちゃんのためにお金を持たせてあげたいと考える飼い主様もいらっしゃいますが、これは貨幣損傷等取締法の「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」に違反します。
お金そのものではなく、一緒に火葬できるごはんや花など、ペットちゃんが喜ぶ品物にしてあげましょう。
*参考サイト
火葬までに飼い主様ができること
火葬が終わった後に後悔しないように、火葬が始まるまでに飼い主様がやっておいた方がいいことを紹介します。
思い出の品は手元に残す
ペットちゃんに持たせてあげることばかりに意識が向いて、形見の品が残らなかったと後悔される方もいます。
首輪やおもちゃなど火葬できない品や、衣服など身につけていた思い出の品などの遺品は手元に残しましょう。
【遺品整理は家族全員で】
筆者の実家で飼っていた犬が亡くなった際、仕事の都合で帰れなかったことが今でも心残りです。再び帰省した際には小屋も含めて遺品整理は終了しており、とても寂しい思いをしたことを覚えています。
遺品整理は単なる品物の整理ではなく、ペットちゃんに思いを馳せる場でもあります。各々の生活があるのは仕方ありませんが、愛する家族の一員の遺品整理だからこそ、できる限り家族が揃ったタイミングでゆっくりと行うのがおすすめです。
そのため、もう使う予定のないケージや水槽などはダニや害虫の発生源となる可能性があるためできる限り早めに片付けが必要ですが、片付けを急ぐ必要がない品は残して管理しておくなど、順番を工夫して行うのもポイントです。
ペットちゃんの形見を残す
火葬が終わればペットちゃんは遺骨だけになってしまいます。その前に犬・猫なら毛やひげ、小鳥なら羽など触れあった思い出が残る部分をカットし、形見として残しておくのもおすすめです。
カットした毛はそのまま飾るだけではなく、ペンダントなどのグッズに加工することもできます。
ペットちゃんの毛を形見として残す際に注意したいことについては、こちらのコラムにまとめてあります。
体をきれいにしてあげる
ご遺体を安置する際には肛門に脱脂綿を詰めるなど、体が汚れないように対策しますが、伸びた毛をカットしてあげたり爪を切ってあげたりと、よりきれいな姿で旅立てるように体をきれいにしてあげるのもおすすめです。
写真を撮る
人間の場合は火葬・葬儀中に故人の写真を撮ることは、遺族の方々への配慮に欠ける行為としてマナー違反とされています。
ペットの場合は火葬時の写真撮影に関してルールはありませんが、火葬の際はお見送りに集中できるよう、写真を撮りたい場合はご遺体の安置から火葬までのタイミングで撮影しておくと良いでしょう。
話をしてあげる
火葬するまでのタイミングはペットちゃんに直接語りかけられる最後のチャンスです。
「ウチに来てくれてありがとう」「また会おうね」など感謝を込めて話してあげれば、ペットちゃんも喜ぶはずです。
ペット火葬に持っていく品物
ペットちゃんの火葬を行う際は、おおまかに「ペット斎場まで赴く」「指定の場所で訪問火葬を依頼する」ことの2つの選択肢があります。
持ち物はおおよそ共通ですが、人間の葬儀と同じようにTPOに応じて必要なものを持っていくようにしましょう。
ハンカチ
悔いなくお別れができた場合でも、やはりお見送りは寂しいもの。ハンカチは必需品です。
数珠
ご焼香やお見送りの際に必要になります。
カバン
持ち物を現地まで運ぶ際はもちろん、首輪など一緒に火葬できない品を返してもらったり、供え終わったおやつの空き袋を持ち帰る場合もあるため、帰り道でも困らないように用意しておきましょう。
歩きやすい靴
ペットちゃんの葬儀・火葬の際はTPOに配慮した服装であれば、喪服ではなく普段着でも問題ありません。
しかし、斎場で火葬後にすぐ納骨を行う場合は、ある程度は歩くことを考慮して歩きやすい靴を選ぶのがおすすめです。
防寒・防暑グッズ
訪問火葬の場合は火葬が終わるまでの時間を自由な場所で待つことができますが、火葬車の近くで待つ場合は防寒・防暑グッズを用意してご自身の体調にも配慮するようにしましょう。
まとめ
ペットちゃんの火葬時に棺に入れられるものは、淡い色の花や少量のごはんなど、火葬に支障を与えない品に限られます。
おもちゃや愛用品を入れてあげたい方も多いかもしれませんが、プラスチックなど燃やすと有害物質が発生する品や金属など燃やせない品も存在するため、迷う場合は火葬を依頼する場所に事前に確認を行うようにしてください。
ペットちゃんの火葬は人間と違って厳密なルールやマナーが存在しないため、迷ってしまう方も多いですが、その場合は「自分がどうしたいか」「ペットちゃんは喜んでくれるか」を考えてみるのもおすすめです。