ほとんどの動物は人の寿命より短く、いつか私たちより先に亡くなってしまいます。その生涯を精一杯生きて、よりよい最期を迎えてもらうために、最近はペットの終活をされる方も増えてきています。
そこで今回は、ペットの終活について詳しく考えていきたいと思います。
この記事の監修者
高間 健太郎
(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
ペットの終活とは?
「終活」という言葉は聞いたことがあっても、実際どのようなものなのか分からないという方も多いと思います。また、意味は知っていても「ペットに終活なんて必要なの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
なんのためにするの?
終活とは「人生の終わりについて考え活動すること」です。ペットちゃんの最期を考えることはとても悲しいですが死と向き合うことで、これからの生活でどのようなことに気をつければいいのかが見えてきます。また、ペットちゃんの最期を事前に考えておくことで病気になったときや、供養するときなど突然決断を迫られる状況になっても慌てず対応できます。
メリット
ペットの終活はどのようなメリットがあるのか紹介します。
・ペットと過ごす時間が濃くなる
私たち人間はもちろん、ペットちゃんにとっても一日一日はとても貴重な時間。ましてや、ペットちゃんの寿命は人間よりも短いことがほとんどです。ペットちゃんとの最期を考えることで、有意義な時間を一緒に過ごすことができます。散歩や旅行などペットちゃんが喜ぶ時間を過ごしてあげましょう。
・経済的に安心
万が一の病気や供養にかかる費用は他の方の経験談を参考にある程度想定することができます。どのくらいの費用が必要か事前に把握しておけば、急な出費で苦しむリスクを避けられます。
・ペットロスを軽減する
ペットロスが長引く原因の多くは「あの時ああしていれば…」という後悔です。ペットちゃんが最期を迎えるまでの日々をイメージしておくことで、亡くなった後のペットロスを軽減することができます。
終活を通してペットちゃんとたくさんの思い出を作り、いざという時を想定した知識を身につけておけば、お別れした後の後悔を軽くすることができます。
はじめにすること
ペットちゃんの終活はどのようなことをすればいいのでしょうか。
この章ではペットの終活でまずはじめにすることについてご紹介します。ぜひ一緒に考えてみてください。
ペットの寿命や特徴
ペットの種類によって寿命やかかりやすい病気は異なります。まずは、ペットちゃんの寿命やかかりやすい病気などについて調べておきましょう。
費用や保険について
ペットと障害暮らすための費用を把握し、その費用を踏まえた上でペット保険を見直しするといいでしょう。保険によっては、葬儀にかかる費用を一部負担してくれるなどの特典もあります。
連絡先
動物病院やペット保険会社、葬儀業者などペットちゃんに何かあった時の連絡先をまとめておけば、万が一の時にも慌てずに必要な場所に連絡することができます。
情報収集
ペットちゃんの最期を考える上で大切なことは、情報収集です。後から「こんな方法があったなんて知らなかった…」と後悔しないように、必要な情報を集めましょう。
終活をする際のポイント
ペットの終活はほとんどの方が初めてするものだと思います。
この章では、大切な家族であるペットちゃんの終活を成功させるためのポイントをご紹介します。
家族で話し合う
大切なペットちゃんを見送るのですから、家族みんなの意見を聞く必要があります。家族みんなで話し合える時間を取るようにしましょう。
エンディングノート
人の終活では定番のエンディングノート。最近はペットちゃんのためのエンディングノートも販売されています。
エンディングノートは一度書いて終わりではなく、見直したり書き直したりして更新することもできるため、まずは書き方にとらわれずに思いや必要なことを記入してみましょう。
ペット仲間
ペットの終活はなかなか一人では決められないことも多いと思います。そのような場合は、ペット仲間や以前ペットを飼われていた方に相談するといいでしょう。
自分の終活と一緒に
ペットちゃんの最期が近づいた時に「家族はどのような生活をしているか」ということも考えなくてはいけません。そのため、ご自身の終活も一緒に行い、将来のことを考えてみてはいかがでしょうか。
事前に決めておきたいこと
ペットちゃんの最期を考えるにあたって決めておくといいことをご紹介します。もちろん、一度決めたことは必ずその通りにしないといけないという訳ではありません。人の環境や心境は変化するものなので、定期的に見直すようにしましょう。
介護について
ペットちゃんに介護が必要になったときのことを事前に考えておきましょう。介護が必要になったときの状況にもよりますが、家族みんなで面倒を見るのか、介護ホームなどを利用してプロに依頼するのか決めておくといいでしょう。
医療について
いざという時、家族が慌ててしまわないように動物病院の電話番号や住所を共有しておきましょう。また、ペットちゃんにとってよりよい最期を迎えるために「どこまで治療を続けるか」ということも話し合っておきましょう。
どこで看取るか
ペットちゃんの最期はどこで看取るかを決めておくといいでしょう。「自宅で看取りたい」という場合は介護施設や動物病院から連れて帰ってくるタイミングを判断することにもつながります。
引き取り先
飼い主様が先に亡くなった場合に備え、ペットちゃんの引き取り先はどうするか決めておくと安心です。
供養方法
ペットちゃんが亡くなった後、どのように供養するのか決めておきましょう。火葬方法、遺骨の供養方法を細かく決めておけば、依頼先を選びやすくなります。また、事前に相談できるペット火葬業者などもありますので、探してみましょう。
終活後のペットちゃんとの過ごし方
ペットの終活をすることで、ペットちゃんと過ごせる時間の尊さを実感する方も多いです。
だからこそ、最期に「幸せだった」と思ってもらえるような生涯を過ごせるようにしてあげたくなるもの。そこでこの章ではペットちゃんを見送るまでにしておきたいことについてご紹介します。
思い出をたくさん作る
ペットちゃんは飼い主様との時間がすべてです。元気なうちは散歩や旅行などに連れていく、たくさんコミュニケーションを取るなど思い出をたくさん作ってあげましょう。また、ペットちゃんが好きな人や動物にも会わせてあげることで、ペットちゃんも喜ぶのではないでしょうか。
写真を残す
思い出とともに、ペットちゃんの写真や動画を残しておきましょう。ペットちゃんが亡くなった後すぐには見ることが辛くても、年月が経てば「残しておけばよかった…」と後悔される方も多くいます。ペットちゃんの写真は、亡くなった後も飼い主様の心を癒してくれるはずです。
まとめ
今回はペットちゃんの終活についてご紹介しました。愛する家族の最期を考えることは辛い気持ちになることもありますが、事前に考えておくことで、万が一のときでも慌てず後悔のない最期を過ごすことができます。
大切なペットちゃんが最後まで幸せに過ごせるように、一度家族でこれからのペットちゃんの生活について話し合ってみてはいかがでしょうか。