
お祭りなどをきっかけに家族として迎えられることが多い金魚は、小さくて可愛い姿と丈夫で飼育しやすいところが魅力です。
しかし、飼育しやすいとはいえ病気やケガをすることもありますし、それが原因となり寿命を迎える前に死んでしまうこともあるのです。
大切な金魚には「元気で長生きしてほしい」というのが、飼い主様の願いだと思います。
その願いを叶えるためには、日々、異常がないか水槽内を確認することが重要ですし、万が一異常を発見したら速やかに対処するようにしましょう。
当記事では、死ぬ前に金魚に現れる異変と対処法、病気や死につながる原因を解説します。
また、金魚が死んでしまったときの安置方法や供養方法もあわせてご紹介しますので、いざという時のためにお役立てください。

この記事の監修者
高間 健太郎(獣医師)
大阪府立大学農学部獣医学科を卒業後、動物病院に勤務。診察の際は「自分が飼っている動物ならどうするか」を基準に、飼い主と動物の気持ちに寄り添って判断するのがモットー。経験と知識に基づいた情報を発信し、ペットに関するお困り事の解消を目指します。
金魚は死ぬ前にどうなる?見た目や行動の変化に注目する

大切な金魚を長生きさせるために大切なのは2点、「飼育環境を整えること」と「金魚の異変にいち早く気付くこと」です。
飼育環境はすでに整えられていると思うので、この章では、とくに金魚が亡くなる前に現れる異変について詳しく解説いたします。
金魚が弱っているときや病気になっているときなど、死んでしまう前には「見た目の変化」「エサを食べなくなる」「動かなくなる」「泳ぎ方がおかしい」など、何らかの異常が現れます。
そして、たった一匹でも金魚が亡くなった場合、放置していると他の金魚たちにも病の感染が広がるなど、全滅の危険性もあるのです。
毎日の水槽チェックを習慣にして、金魚の小さな異変も見落とさないよう心掛けましょう。
見た目の変化は老化や病気のサイン
●老化による見た目の変化
金魚の寿命は10~15年と言われていますが、中には数十年生きる長生きの金魚もいて、日本でも32歳のご長寿金魚がニュース(*1)になりました。
また、ギネス記録にはなんと43歳まで生きた金魚が登録されている(*2)そうです。
金魚も人と同じように高齢になれば見た目にも変化が現れ、ウロコの色が色褪せてきたり、目が白っぽくなってきたりするようです。
老化の場合は、お別れの時が近づいてきているのだと認識して、心の準備をしておきましょう。
●病気による見た目の変化
金魚の体や見た目に異常が現れた場合は、病気のサインかもしれないため、症状に合わせて適切な治療を行いましょう。
症状が出ている金魚は隔離して治療し、感染症が疑われる場合は他の金魚たちの水槽も水換えを行うなど、飼育環境の改善に取り組んでください。
症状 | 考えられる病気 | 治療方法 |
初期ではウロコ一枚分ほどの充血が見られ、ひどくなると範囲が広がり、やがてウロコがはがれ落ちて穴が開いたように見える | 穴あき病 ・細菌による感染 | ・専用の薬で薬浴(*3)する ・水温を25℃以上にあげる(低水温を好む細菌のため) *急激な温度変化はNG。水温を上げるときはヒーターなどを使用してゆっくりと行う |
初期では白点が数点見られる程度だが、ひどくなると体全体に白点が出る | 白点病 ・白点虫と呼ばれる寄生虫が原因 | ・専用の薬で薬浴する ・体の白点が消えても、目に見えない寄生虫の仔虫がいる場合もあるため、数日は薬浴を続ける ・水温を26~28℃にあげるのも効果的 *急激な温度変化はNG。水温を挙げるときはヒーターなどを使用してゆっくりと温度を上げる |
ウロコが逆立って松ぼっくりのようになる 腹部の膨張や出血、眼球突出を伴うこともある | 松かさ病(立鱗病) ・細菌が原因の一つとされているが詳しくはわかっていない | ・専用の薬で薬浴する ・0.5%の濃度に調整して塩分浴をするのも効果的 ・症状が進行すると治すことはできない |
乳白色のイボやコブができる | ポックス病(乳頭腫症) ・ウイルス感染が原因と言われている ・感染力が非常に強い | ・有効な治療法はない |
初期では目の周りが腫れたように膨らみ、次第に眼球が飛び出してきて、ひどくなると目が取れてしまう | ポップアイ ・様々な原因により発症(細菌、外傷、水質の悪化、低酸素症など) | ・初期なら塩水浴(*4)と水換えが効果的 ・外傷や感染症が原因の場合は薬浴する ・目の充血や鼻上げ(水面で口をパクパクさせる)行動が見られた場合は塩水浴を行う、またエアレーション(ぶくぶく)をして水中の酸素量を増やすなどする |
*3)薬浴‥‥‥病気の魚を薬を溶かした水の中に隔離して治療すること
*4)塩水浴‥‥‥金魚の自然治癒力を向上させることを目的として行う療養法で、0.5%の濃度にした塩水(水1ℓあたり塩5g)で1週間を目安に隔離する
水面で口をパクパクさせるのは酸素不足かも
水面で口をパクパクさせたり、エラを激しく動かしているようなときは酸素不足に陥っている可能性があります。
水温の上昇や水質の悪化、水流不足、過密飼育などが原因で、水中の酸素が足りなくなっていると考えられます。
・過密飼育になっている場合は水槽を分ける
・エアレーション(ぶくぶく)を行い、水中に酸素を溶け込ませる
・水流を作り、水中に酸素を取り込む
・水換えをする(水質の改善)
・水草を植える(光合成によって水中に酸素を供給してくれる)
暴れるように泳ぐのはPHショックや寄生虫の影響
暴れるように泳いだり、くるくると回るように泳いだりする場合は、PHショックや寄生虫による影響が考えられます。
PHショックは、水合わせや水温合わせが不十分なまま水槽を移動させたり、一度に大量の水換えを行うことで起こります。
体力がある金魚であれば、しばらくして自然と回復することもありますが、ほとんどは死んでしまうことになるので、そうならないように予防することが大切です。
・PHショックを起こさせないためには、水合わせや水温合わせを慎重に行い、水換えも1/3~1/2程度の量からゆっくり入れ替える
・寄生虫が原因の場合は、隔離して専用の薬で薬浴を行うとともに、もとの水槽も水質改善のために水換えを行う
エサを食べない原因は体調不良やストレス
体調不良や病気、ストレス過多な金魚は、食欲が低下してエサを食べなくなることがあります。
エサを食べないと体力が落ちて、状態がさらに悪化してしまうので注意が必要です。
・塩水浴をして自然治癒力を高める
・水換えをして水質の改善を行う
・ストレスの原因を取り除く
泳ぎ方の異常は転覆病やアンモニア中毒を疑う
異常な泳ぎ方をしている場合は、病気を疑いましょう。
ふらふらと泳いでいる時点で気づけば、完治できる可能性がありますが、傾いたり逆さまになったりして泳いでいる場合は要注意です。
泳ぎ方に異常が現れた場合は「転覆病」や「アンモニア中毒」の可能性を考えて治療しましょう。
・ろ過フィルターの掃除や取り替えを行う
・水換えを行い水質を改善する
・アンモニア濃度を測れる試験薬や試験紙を使って水質をチェックする
・転覆病は、金魚の浮袋(浮力を調整する器官)がうまく機能しなくなる病気で、先天性の場合は治療は難しい
後天性の場合は、消化不良が原因で発症するため、消化に良いエサを与えるとともに、水質改善に取り組む
あまり動かなくなるのは病気の進行や衰弱を示す
人もそうですが、高齢になり体力がなくなっている、病気が進行して衰弱している、といったときには金魚もあまり動かなくなります。
老衰であれば仕方がないのですが、まだ若くて体調不良や病気の可能性があるのならしっかりと治療してあげましょう。
・水温が低い場合も金魚の動きが鈍くなるため、水温は15~28℃を目安に調整する
・水換えを行い水質を改善する
・状態に合わせてエサの量・回数の見直しや塩水浴を行う
・ストレスの原因を取り除く
金魚が死んでしまう3大原因|不適切なエサの与え方、水質の悪化、ストレス

金魚は熱帯魚などに比べると、環境への適応能力が高く、丈夫で飼いやすいです。
しかし、いくら丈夫とは言え、不適切な環境で飼育していたら弱って死んでしまうのは当然のことです。
また、非常にデリケートな品種の金魚もいて、些細な環境の変化でも死んでしまうこともあります。
金魚の死につながる根本原因として考えられるのは、「不適切なエサの与え方」「水質の悪化」「ストレス」の3つです。
この3つが原因となり免疫力が低下して病気を発症したり、小さなケガが元となり命を落とすこともあるのです。
不適切なエサの与え方
金魚が食べきれないほどのエサを与えてしまうと、食べ残しからアンモニアが発生して水中に溜まり、アンモニア中毒を誘発します。
また金魚が消化不良を起こして病気になるケースもあります。
食べ残しをすぐに取り除くのはもちろん、食べ残しが出ないように3~5分ほどで食べきれる量を目安にして、1日1~2回を基本として与えましょう。
水質の悪化
水質が悪化すると様々な病気のリスクが高まり、金魚に深刻なダメージを与えかねないため注意が必要です。
水槽は1~2週間に1回を目安に水換えを行いましょう。
その際は、カルキ抜き、水温、水合わせは慎重に行ってくだいね。
水槽の壁はスポンジなどを使用してコケを落とし、砂利は専用のクリーナーを用いて間に紛れたゴミや汚れを吸い取ります。
また、ろ過フィルターはエアレーションの泡が出にくくなってきたのを目印にして、飼育水を用いて(*5)すすぎ洗いしましょう。
*5)ろ過フィルターには水をきれいにするバクテリアが住みついており、水道水で洗ってしまうとバクテリアが死んでしまうので飼育水を使用する
ストレス
水槽の中にたくさんの金魚を入れると金魚同士でいじめが起こることがあります。
いじめが原因で満足にエサが食べられないこともありますし、ストレスで寿命を縮めることもあるため注意してください。
身体の大きさによって水槽を分けるか、弱い金魚の隠れ場所を作ってあげましょう。
金魚が死んでしまったら|すぐに水槽から取り出して安置する

金魚が動かない、浮かび上がっているなど亡くなっていることを確認した場合は、すぐに水槽から取り出しましょう。
金魚の死亡確認の方法
網でそっとすくって金魚の体を観察し、エラやヒレが動いていないか、優しく触れてみて反応がないかを確認しましょう。
動きが見られず反応もない場合は、残念ながら亡くなっているということです。
遺体を安置して冷やす
金魚の遺体は乾燥すると傷んでしまうため、湿らせた状態で安置することが大切です。
①遺体を流水で優しく洗い、汚れを取り除く

②濡らしたキッチンペーパーで遺体を包む

③タッパーなどに遺体を納め、保冷剤を入れて冷やす

金魚の棺(タッパー)は、クーラーの効いた部屋に安置し、保冷剤は溶け切る前にこまめに取り替えましょう。
冷蔵庫や冷凍庫に安置する方法もありますが、衛生的な観点からあまりおすすめはできません。
どうしても長期間ご遺体を保管する必要があり、冷蔵庫・冷凍庫を使用する場合は、しっかりと棺を密封して開かないように注意してください。
金魚のお見送り方法を決める|火葬・土葬・可燃ゴミとして出す

金魚の見送り方には、「火葬」「土葬」「可燃ゴミとして出す」の3種類の方法があります。
「トイレに流す」という話も聞かれますが、これはトイレや下水管の詰まりの原因になるためしてはいけません。
それぞれのお見送り方法の特徴をご説明いたしますので、飼い主様にとって一番良い方法を選んでください。
訪問ペット火葬業者やペット霊園で火葬してもらう
「金魚も大切な家族の一員だから、人と同じように火葬してあげたい」「遺骨を手元供養したい」という飼い主様に選ばれている方法です。
近年では、金魚一匹の火葬にも対応してくれる火葬業者が増えてきました。
遺骨が遺せるかどうかは火葬業者の技術力や使用する火葬炉の性能にもよりますので、返骨を希望される場合は、金魚の火葬実績が豊富な業者を見つけると良いでしょう。
●訪問ペット火葬業者
ペット専用火葬炉を搭載した火葬車で飼い主様の自宅や指定の場所まで来てくれます。
その場で火葬できるので、いそがしい飼い主様や外出が難しい飼い主様に人気の方法です。
\ペット火葬ハピネスでは金魚の葬儀・火葬にも対応!小さなお骨もきれいに残せます/
●ペット霊園
ペット用の葬儀場や墓地(個別・合同)、納骨堂(霊座)を完備している施設で、ペットちゃんの遺体を持ち込むことで火葬してくれます。
お別れのセレモニーから火葬、納骨・埋葬までを一括で執り行ってもらえるのが特徴です。
私有地やプランターに土葬する
小さな金魚は、そのまま土葬して弔うこともできます。
公有地での土葬は法律によって禁止されている(*6)ので絶対に行ってはいけませんが、私有地やプランターであれば飼い主様の責任の下、行うことができます。
ただし、病気で死んでしまった場合や、海外から輸入した金魚の場合は、病原菌やウイルスが生態系へ悪影響を及ぼす可能性があるため、土葬は避けたほうが良いでしょう。
どうしても土葬にしたいという飼い主様は、プランターへの埋葬を行うのが賢明です。
また、行う際は臭いや虫が発生しないように正しい方法で埋葬し、金魚が土に還るまでの十年余りはきちんと管理しましょう。
*6)廃棄物処理法
可燃ゴミとして出す
賛否が分かれる方法ではありますが、金魚の遺体は可燃ゴミとして出す見送り方もあります。
倫理面で抵抗を感じる飼い主様も多いですが、衛生面から見ると有効な方法と言えます。
行う際には、周りの方に配慮して、遺体が袋から透けて見えないように、布や紙で包んでからゴミ袋に入れるようにしてください。
お金や時間を掛けずに見送れる方法ですが、「お墓を作ってあげたら良かった」といった後悔をする可能性もあるので、十分に考えてから行うようにしましょう。
まとめ
金魚は丈夫な魚ですが、水質の悪化やストレスなどが原因で病気になることもあり、発見が遅れると死んでしまうこともあります。
健康で長生きしてもらうためにも、毎日の水槽チェックを欠かさず、ウロコや体に現れた変化、エサを食べない、泳ぎ方の異常などの異変に気づいたらいち早く対処することが大切です。
そして、もし金魚が死んでしまったときにはすぐに水槽から取り出して安置し、後悔しない方法でお見送りしてあげましょう。
ハピネスでは、金魚・熱帯魚の火葬・葬儀にも数多く携わってきました。
その経験を活かして丁寧に飼い主様をサポートしますので、まずは遠慮なくご相談ください。
この記事の執筆者

ペット火葬
ハピネス 編集部 J・N
愛するペットちゃんとのお別れによって心に深い悲しみと不安を抱えた飼い主様を支えられるような、わかりやすく正確な記事作成を心掛けています。自分のこと以上に大切な家族を思いやることができる優しい心を持った飼い主様の力になれるように努めます。