
サルは上級者向けのペットで飼育難易度が高く、実際に飼える品種も限られています。
一緒に暮らすにはいくつものハードルがあり、「近くにサルを診察できる動物病院がある」「人獣共通感染症(サルにも人にも感染する病気)のリスクを十分に理解して対策できる」などの条件が揃っていなければいけません。
それでも「飼ってみたいペット」として名前が挙がることも多く、コモンマーモセットやリスザル、ショウガラゴ(ブッシュベイビー)などの小さなサルはとても人気です。
くるくると表情を変える愛嬌たっぷりの可愛さに加えて、非常に賢く、そのうえ家族への情も深いところが虜になる理由のようです。
平均寿命は品種によって違いますが、コモンマーモセットは7~10年、リスザルは15~20年、ショウガラゴ(ブッシュベイビー)は10~15年と言われています。
共に過ごす時間が長くなるほど離れがたくなりますが、それでもいつかは別れの時が訪れます。
その時になって慌ててしまわないよう、サルちゃんの終末期や看取りのために備えておきましょう。
サルちゃんの終末期や看取りのためにしておくことは次の5つです。
・死につながる原因を知って対策する
・亡くなる前に現れる症状を知る
・看取る場所を決めておく
・看取り方を考えておく
・火葬の依頼先や供養方法を決めておく
これらに加えて、当コラムでは、亡くなった後のご遺体のエンゼルケア(保清処置)や安置方法についても解説いたします。
愛するサルちゃんとの充実したペットライフを最後まで悔いなく過ごしていただくためにも、当記事をぜひお役立てください。
サルちゃんが亡くなる原因と対策|病気・ストレス・事故・管理不足

すべてのサルちゃんが天寿を全うして安らかに旅立てるのが理想ですが、ケガや病気などが原因で、それが叶わないこともあります。
ここでは、サルちゃんが老衰以外で亡くなってしまう原因とその対策をご紹介いたします。
病気|人間の病気がうつると免疫がないサルにとっては致命的
サルは感染症を人にうつしてしまう恐れがあるため、現在では試験研究用または展示用以外の目的での輸入が禁止されています。(*①)
ペットとしての飼育が認められているのは、国内で繁殖された個体や、輸入が禁止される以前から飼っていた場合のみです。
とくに注意喚起されている病気が「エボラ出血熱」「マールブルグ病」「細菌性赤痢」「結核」で、サルまたは人に感染していることがわかった場合、獣医師または医師は感染症法に基づき、速やかに行政へ届出を行う義務があるのです。(*②)
そして、サルから人への感染だけではなく、人からサルに病気をうつしてしまうケースもあります。
例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)という皮膚や口、唇などに傷みのある水泡を発生させる、人に多く見られる感染症は、患部や粘膜に触れることで他の人へ感染しますが、サルに感染することもあるのです。
そしてサルに感染した場合、致死的な重症化を引き起こします。(*③)
今のところ、人間の風邪やインフルエンザがペットのサルにうつったという事例はないものの、より人間に近い類人猿ではすでに発生(*④)しており、今後ペットのサルに同じようなことが起こらないとも限りません。
人にとっては軽い症状で治まる病気でも、これらの菌やウイルスに対抗する免疫や抵抗力を持たないサルにとっては命に関わることになります。
もちろん、このように人からうつる病気だけでなく、先天的に疾患を抱えているサルもいれば、不衛生な環境や肥満などが原因で病気になるサルもいます。
・毎日の掃除は基本
・触れ合う前後は、手洗いうがいをする
・飼い主様とペットちゃんのどちらかが病気になってしまった際には、接触を控えて互いにうつらないように気を付ける
*参考サイト
①・サルを輸入するには(動物検疫所)
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
第10章「感染症の病原体を媒介するおそれのある動物の輸入に関する措置」第54条~56条
ストレス|慢性的なストレスは心身の健康を損なう
そもそもサルは群れで暮らし、家族や仲間たちとの絆をとても大切にする動物です。
できれば多頭飼育するのが望ましいですが、そうなると飼育難易度はさらに上がるので、ペットとして飼う場合には現実的とは言えません。
そのため、単頭飼育されることが多いペットとしての飼育では、飼い主様とのコミュニケーションの時間を十分に取ってあげる必要があります。
「仕事で忙しく留守番をさせることが多い」という環境ならサルちゃんは大きなストレスを抱えてしまうことになります。
一人暮らしや家人が留守にしがちなご家庭ではサルを飼うことは控えるべきでしょう。
また、サルちゃんの性格にもよりますが、他のペットちゃん(犬・猫など)と一緒に飼われることにストレスを感じて攻撃的になる子もいるようです。
基本的に、他のペットちゃんとは生活スペースを分けてあげるようにしてください。
当然のことですが、性格はサルの品種によってもまちまちですし個体差もあります。
●コモンマーモセットは臆病で警戒心が強い
コモンマーモセットは、臆病で警戒心が強く、慣れてくれるまで時間がかかりますし、少しの環境の変化にもストレスを感じてしまいます。
慣れると甘えん坊になるため、しっかりと構ってあげることが大切です。

●リスザルは好奇心旺盛で活発
リスザルは好奇心旺盛で活発な半面、人懐っこく寂しがり屋な面もあるそうです。
放置されてスキンシップが不足してしまったり、遊びや運動の時間が足りないとストレスを感じてしまいます。

●ショウガラゴ(ブッシュベイビー)は臆病で音に敏感
ショウガラゴ(ブッシュベイビー)は臆病なうえに、聴力が優れているため大きな音を嫌がる傾向があります。
大声でしつけようとすると怯えてしまい信頼関係を築けなくなることもあるため、注意しましょう。

・品種ごとの特性を理解し、安心してもらえる環境を整える
・大きな音、強い臭いなど、サルちゃんがストレスを感じるものを取り除く
・一緒に過ごす時間を十分にとり、寂しい思いをさせない
・運動不足にならないようにする
事故|脱走、誤食・誤飲に要注意
サルはとても賢く、ドアの開け方なども見様見真似で覚えてしまうことがあります。
運動神経も良く、跳躍力に優れた品種もいるため、油断していると脱走してしまう危険性があるのです。
また、誤食や誤飲にも注意しなくてはいけません。
例えばリスザルは、好奇心が旺盛で、気になるものは何でも手に取ってしまう習性があります。
食べ物以外を誤飲してしまうと、「食道に詰まり窒息する」「腸閉塞を引き起こす」などの危険性がありますし、洗剤や化学物質を食べてしまった場合は「嘔吐や下痢」「中毒症状が出る」などが起こりえます。
人間の食べ物の中でもとくにタマネギは、溶血性貧血の原因となることが確認されているため、サルが誤って口にしないようにしなければいけません。
他にも、飼い主様に与える意図がなくても、室内に入り込んだ昆虫などを食べてしまい寄生虫に感染してしまうこともあるようです。
・室内で運動させる際は、窓や扉を閉めて脱走を防ぐ
・サルの手の届くところへ危険物を置かない
・外部から虫やネズミが侵入しないよう清潔に保つ
管理不足|健康管理の難易度は非常に高い
ペットとして長い年月を人間とともに過ごしてきた犬や猫とは異なり、サルがペットとして人間と暮らすようになったのはごく最近のことです。
そのため、まだまだ飼い方に関する情報も少なく、管理不足が原因でペットちゃんを死に至らしめてしまうこともあります。
そもそもサルの生態は解明されていない部分も多いうえに、品種によって食性や行動も異なります。
例えば、コモンマーモセットやリスザル、ショウガラゴ(ブッシュベイビー)は雑食で、モンキーフードを中心に野菜や果物、動物性タンパク質(昆虫、ミルワーム、ゆで卵、鶏肉など)をバランス良く与えることが推奨されています。
しかし、体調を見ながら与える量や割合を調整するのは容易ではありませんし、さらに好き嫌いをするペットちゃんもいるので、栄養管理は非常に難しいと言えます。
また、サルを診察できる動物病院は少なく、自宅の近くになければサルちゃんが体調を崩したり、ケガをしたりした時にすぐに対応することもできません。
・サルを診察できる獣医師がいる動物病院を見つけて、その近くで暮らす
・常に最新の情報を集めてサルの生態について勉強していく
サルちゃんが亡くなる前に現れる症状|食欲の減退、睡眠時間の増加など

人間も高齢になったり、病気やケガをしたりして弱ってくると、元気なときと同じようには過ごせなくなってくるものですが、サルたちももちろん同じです。
ここでは、サルちゃんが亡くなる前に現れることがある5つの症状と、その対応策についてご紹介します。
*対応策は、あくまでも一般的な方法であり、すべてのケースで有効とは限りません。
とくに持病がある、または疾患の可能性がある場合は、かかりつけの獣医師に相談してその指示に従ってください。
食が細くなる|食べやすくする工夫が大切
代謝が落ちると胃腸の動きが悪くなり、食べたものを消化するのにも時間がかかるようになります。
結果として、あまりお腹が空かない、食欲が湧かない、という状態になるようです。
また、飲み込む力が弱まることもあり、そうなると食べること自体をおっくうに感じてしまうサルもいます。
・モンキーフードをぬるま湯でふやかして柔らかくするなど、食べやすくする工夫をしてあげましょう
・好物をフードに混ぜるなど、サルちゃんの食欲が増すようにしてあげましょう
・食べ物を口につけるのも嫌がる、水も飲まない、というような時には、歯痛・口内炎などの口腔内の異常や、他の病気が原因であることも考えられます。このような時は、獣医師の診察を受け適切に治療を行いましょう
寝ている時間が増える|飼育環境の見直しをするタイミング
高齢になると筋力の低下や関節の痛みなどが原因で、活動量は若い時よりも減少してきます。
疲れやすくもなってくるので、あまり動かずにじっとしていたり、眠っていたりする時間が増えるのです。
・筋力が落ちてしまうことで、落下や転倒などの事故が起こりやすくなります。ケージ内のレイアウトの変更、床にクッション材を敷くなど、飼育環境の見直しをしてあげましょう
・老衰や病気、ケガが原因で寝たきりになってしまった場合は、床ずれを起こさないように寝心地の良いクッションを準備する、寝返りをサポートする、なども大切です
体温が低くなる|あたたかく過ごせるようにする
代謝が落ちると筋肉が痩せてきて、基礎体温も下がってしまいます。
そして、体温が下がると、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなり、風邪などの軽い病気でも重症化するリスクが高くなります。
・あたたかく過ごせるようにしてあげましょう(洋服を着せる、ペットヒーターを用意する、など)
・優しくなでる、さするなどのマッサージを行い、血行を促進させる(1日1回3~5分を目安に)
*怪我や持病がある場合は、獣医師に相談してから実施してください
・サポートしながら軽い運動を行い、筋力アップを促す *ただし無理は禁物です
呼吸が乱れる|呼吸数・リズム・異常音を確認する
種類によって異なるため、おおよその目安にはなりますが、サルたちの通常時の呼吸数は30~40回/分なのだそうです。
サルが亡くなる前には、呼吸数が通常時と比べて極端に多い、または少ない、一次的に無呼吸になる、といった呼吸異常が見られることがあります。
また、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」「ゴロゴロ」といった異常な呼吸音がある場合は、喘息や心不全の可能性があるため注意が必要です。
・1分間を目安に呼吸数を数える。その際に、呼吸のリズムは一定か、異常音がしないかも合わせて確認しましょう
・異常が見られた場合は、すぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。
発作・けいれんを起こす|治まった後もぐったりしていたら要注意
てんかんや脳の疾患、腎不全などの病気を抱えている場合、亡くなる前には発作やけいれんを起こすことがあります。
泡を吹く、嘔吐する、失禁する、というようなケースもあり、とくに嘔吐している場合は、吐しゃ物を喉に詰まらせてしまうこともあるため注意してください。
けいれんが5分以上続く場合や、発作が治まった後もぐったりしているようなときは危険な状態で、そのまま亡くなってしまうこともあります。
・頭をぶつけないように、周囲から危ない物を取り除いてあげましょう
・サルちゃんの顔に触れると反射的に噛まれてしまうことがあるため、けいれんが治まるまでは触れないようにしてください
・嘔吐している場合は横向きの体勢にして、吐しゃ物が喉に詰まらないようにしてあげましょう
・できれば発作の様子を動画で撮影しておき、治まるまでの時間も計っておきましょう。獣医師にペットちゃんの正確な症状を伝えるのに役立ちます
サルちゃんが亡くなる前にできること|看取りへの備えと火葬・供養方法の選択

最愛のサルちゃんが最期を迎えようという時に、飼い主様は冷静でいられないのが普通です。
「愛する存在を失うのが怖い」「悲しい」「どうしてあげたらいいかわからない」そんな思いに囚われて、パニックになってしまう方もおられるでしょう。
それでも、サルちゃんが安心して旅立てるようにしてあげたいですし、後悔を残すようなことは避けたいですよね。
そのためには、今の内から「看取りへの備え」と「亡くなった後の火葬・供養方法」を考えておくことが大切なのです。
看取る場所と看取り方を考える|治療方針やペットちゃんの性格に合わせて選択
ペットちゃんにどんな風に最期の時を迎えてもらいたいかは、飼い主様それぞれの考え方や事情によっても変わってきます。
「どの方法が正解」ということはありませんので、ペットちゃんの性格や持病の有無などを考慮して、最善の看取り方を考えておきましょう。
まずは要点をまとめた以下の表をご覧ください。
看取る場所 | 看取り方 | こんな方におすすめ |
動物病院 | 延命治療 回復の見込みはないと承知の上で、一次的に命を延ばす医療的処置 | ・少しでも長くペットちゃんに生きていてほしい飼い主様 |
緩和ケア 延命や完治ではなく、痛みや苦しみを和らげるために施す医療的処置 *訪問医療で対応できる病院もある | ・苦痛を伴う病気や大ケガを負ったペットちゃんの飼い主様 ・少しでも安らかに旅立ってほしい飼い主様 | |
動物病院/自宅 | ||
自宅 | 自然に任せる 飼い主様ができる範囲でお世話をして、最期の時を見守る | ・ペットちゃんが安心できる場所で看取ってあげたい飼い主様 ・今までつらい治療をがんばってきたペットちゃんの飼い主様 |
サルちゃんを看取る場所は、「自宅」か「動物病院」になり、場所によってできることは異なります。
自宅は、サルちゃんにとって飼い主様と一緒に過ごした場所ですし、家族に見守っていてもらえるという安心感があります。
優しく撫でてあげたり、「ありがとう」「大好きだよ」とあたたかな言葉をたくさんかけてあげましょう。
看取り方は「自然に任せる」ことになるケースがほとんどですが、飼い主様がしてあげられることには限界があります。
訪問医療を受けられれば、ある程度の緩和ケアはできますが、そうでない場合はペットちゃんの苦しそうな姿を見ていることしかできないつらさを飼い主様は感じるかもしれません。
一方の動物病院は、サルちゃんの状態に応じた医療的処置が受けられるのが大きな魅力です。
ギリギリまで諦めずに積極的な治療を行うことも、家族が揃うまでのあいだ延命治療で命を繋ぐこともできますし、痛みや苦しみを緩和させて穏やかな死を迎えさせてあげることもできます。
ただし、慣れない環境はサルちゃんへストレスを与えることになるでしょうし、家族がそばにいないときに容態が急変してしまい、治療の甲斐もむなしく最期の時に飼い主様が立ち会えないこともあります。
火葬や供養の方法を選ぶ|お見送り後にどう供養してあげたいかが大切
ペットとして飼うことができるサルのほとんどは、日本に本来いない品種のため、ご遺体は火葬をするのが望ましいと言えます。
私有地やプランターへの埋葬は法律で認められていますが、日本由来ではない菌やウイルスを保有している可能性もあり、環境や野生動物へ影響がないとも言い切れないからです。
とくに病気が原因で亡くなってしまった場合は、埋葬ではなく火葬することをおすすめいたします。
サルちゃんが「エボラ出血熱」「マールブルグ病」「細菌性赤痢」「結核」により死亡したことがわかった場合は、必ず獣医師の指示に従ってください。
獣医師から行政へ届出がなされるため、サルちゃんの火葬についても行政の指示に従う必要があります。
火葬は「自治体」「訪問ペット火葬業者」「ペット霊園」で頼める
自治体 | 訪問ペット火葬業者 | ペット霊園 | |
メリット | ・安価で利用できる ・行政運営のため安心 | ・時間や場所が自由に選べる ・ご遺体を持ち込む必要がない ・飼い主様の手で拾骨できる ・返骨ができる ・遺骨の供養方法が選べる | ・葬儀から火葬、納骨までを一連の流れで行える ・飼い主様の手で拾骨できる ・返骨ができる ・遺骨の供養方法が選べる |
デメリット | ・拾骨、返骨に対応していない ・火葬の日時が選べない ・遺骨の供養方法が選べない | ・費用がやや高額になる ・業者選びに時間がかかる | ・費用が高額になる ・ご遺体を持ち込む必要がある ・郊外にあることが多く、お参りしにくい |
火葬方法* | ・合同火葬 ○ ・個別火葬 ✕ | ・合同火葬 ○ ・個別火葬 ○ | ・合同火葬 △ ・個別火葬 ○ |
こんな人におすすめ | ・火葬費用を抑えたい ・供養の仕方にこだわらない | ・自宅や思い出の場所で見送りたい方 ・自由なスタイルで葬儀がしたい方 ・外出が難しい家族がいる方 ・遺体の運搬手段がない方 | ・厳かな葬儀をしたい方 ・永代供養を頼みたい方 |
*個別火葬…飼い主様のペットちゃんだけを個別で火葬する
■自治体
自治体での火葬は、利用料の安さが最大の魅力と言えるでしょう。
地域によって料金は様々ですが、概ね数千円程度で火葬をしてもらえます。
しかし、火葬への立ち会いや拾骨、返骨には対応していない自治体がほとんどで、ペットちゃんの遺骨は廃棄物と一緒に埋め立てられることになります。
利用してから後悔することがないように、事前にどのような対応がなされるかをしっかりと確認しておきましょう。
※まれに個別火葬や返骨に対応している自治体もあります
■訪問ペット火葬業者
訪問ペット火葬業者による火葬は、自由度の高さが他にはない魅力です。
火葬の日時だけではなく、サルちゃんをお見送りする場所も自由に選べますし、たくさんのペット仲間に列席してもらって葬儀を行うこともできます。
「あの子らしい葬儀がしたい」「自らの手で拾骨してあげたい」「遺体の運搬手段がない」といった飼い主様の強い味方です。
業者ごとにサービス内容やオプションメニューも異なり、中には悪質な業者も紛れているため、業者選びは慎重にする必要がありますし、自治体と比べるとやや高額になる点は理解しておきましょう。
※「人獣共通感染症(サルにも人にも感染する病気)」への懸念からサルちゃんの火葬に対応していない業者もあります
■ペット霊園
ペット霊園は、斎場・火葬場・墓地(納骨堂)が同じ敷地内にある施設のことで、葬儀から埋葬までを一連の流れで行うことができるのが特徴です。
人間の葬儀さながらのセレモニーはもちろん、年忌法要や供養祭を行っている霊園も多く、丁寧な供養ができるのが魅力と言えます。
普段のお墓の管理も任せることができるため、「サルちゃんの遺骨の管理が難しい」「人間と同じように供養してあげたい」という飼い主様に人気です。
ただし、費用は当然高額になりますし、広い敷地を必要とするため郊外にあることが多く、車がないと行きづらいのは考慮しておかなければいけません。
※「人獣共通感染症(サルにも人にも感染する病気)」への懸念からサルちゃんの火葬に対応していないペット霊園もあります
●遺骨の供養方法は「手元供養」「自宅埋葬」「ペット霊園への納骨」「自然散骨」がある
■手元供養(祭壇、遺骨アクセサリーなど)
手元供養は、ペットちゃんの遺骨を自宅の祭壇に祀ったり、専用のカプセルに納骨してアクセサリーとして身につけたりして供養する方法です。
いつでも一緒にいられるため、甘えん坊だったサルちゃんにはとくに喜んでもらえるのではないでしょうか。
■自宅埋葬(私有地・プランター)
自宅埋葬は、私有地やプランターにサルちゃんの遺骨を埋葬してお墓を作る供養方法です。
お花を食べるのが好きなサルちゃんもいるようなので、好物のお花を植えてあげるのも良いかもしれませんね。
■ペット霊園への納骨
ペット霊園には納骨堂(霊座)と墓地があります。
納骨堂(霊座)は室内型の墓地で、天候に左右されずにお墓参りができるのが特徴です。
墓地は、合同墓地(他のペットちゃんたちと一緒に埋葬)と個別墓地(サルちゃんだけを個別で埋葬)が選べます。
霊園によっては、飼い主様とペットちゃんが一緒に入れるお墓を建てられるところもあるので、「いずれはサルちゃんと眠りたい」とお考えの飼い主様はぜひ探してみてください。
■自然散骨
海や山などの大自然に散骨するこの供養方法は、お出掛けが好きだったサルちゃんの飼い主様や自然志向の飼い主様に選ばれています。
ただし、遺骨は粉骨(パウダー状)しなくてはいけませんし、自治体によって散骨のルールが異なり、行える場所も限られるので事前確認は必須です。
トラブルになってもいけませんので、行政の許可を得てペットちゃんの散骨を執り行う専門業者に依頼するのが最も安全な方法でしょう。
サルちゃんが亡くなった時にしてあげたいエンゼルケア(遺体の保清処置)と安置の方法

愛するサルちゃんを看取った直後は、悲しみから何もする気が起きないかもしれません。
しかし、サルちゃんの遺体をそのままにしていると、徐々に傷みが進行してしまいます。
きれいな姿で見送ってあげるためにも、できるだけ早くエンゼルケア(遺体の保清処置)と安置を行いましょう。
サルちゃんのエンゼルケア(遺体の保清処置)
エンゼルケア(遺体の保清処置)には、「サルちゃんの尊厳を守る」「飼い主様や他のペットちゃんへの感染症予防」「飼い主様の心の整理」という3つの役割があります。
サルちゃんが旅立つ前の最後のお手入れになりますので、愛情を込めて行ってあげてくださいね。
①サルちゃんを楽な体勢にしてあげる
サルちゃんの死後硬直は、体格にもよりますが死後1~3時間ほどで始まります。
硬直が進むと体勢を変えられなくなるため、早めに丸まって眠っているような楽な体勢にしてあげましょう。
目や口が開いている場合は、手のひらでなでるようにして閉じてあげてください。

・手足が伸びたまま硬直してしまっている場合は、24時間ほど経ち死後直後が解けてから体勢を変えてあげましょう
②よく絞ったタオルで拭いて清潔にする
ぬるま湯に浸したタオルをよく絞り、サルちゃんの体を優しく拭いて清潔にしてあげましょう。
とくに目や口周り、お尻などは汚れやすい部位なので丁寧に拭いてあげてください。

・タオルの代わりにペット用ウェットシートなどを使用しても構いません
・被毛がかなり濡れてしまった場合は、乾いたタオルで拭き直してあげましょう(濡れたままにすると遺体の腐敗が早まります)
・鼻やお尻などからは体液や排泄物が漏れてしまうことがあります。綿球やティッシュなどを詰めて汚れないようにしてあげましょう。
③ブラシで毛並を整えてあげる
仕上げに、ブラシで全身の毛並を整えてあげましょう。

サルちゃんの遺体の冷却と安置
エンゼルケアができたら、次は遺体の冷却と安置を行いましょう。
適切に行えば夏場で1~2日ほど、冬場で2~3日ほど、サルちゃんをきれいな姿のまま保ってあげることができます。
①棺を準備してサルちゃんを優しく寝かせる
サルちゃんの遺体が余裕をもって納まるサイズの箱(段ボール箱など)を用意します。
中にペットシーツやバスタオルなどを敷き、そこへサルちゃんを寝かせてあげましょう。

②保冷剤やドライアイスを用いて遺体を冷やす
保冷剤やドライアイスを布で包み、サルちゃんの周りに置いてください。
とくに頭部や腹部は傷みやすい場所のため、重点的に冷やすようにしましょう。

・水滴がつくと遺体の腐敗の原因になるため、保冷剤やドライアイスはサルちゃんの体に直接触れないようにしてください
・ドライアイスを使用する場合は、素手で触れないようにしましょう
・ドライアイスを使用する場合は、部屋を換気して棺は密封しないようにしましょう
・保冷剤は解け切る前に取り替えてください
③冷暗所へ棺を安置する
棺は涼しくて静かな部屋に安置しましょう。
夏場なら冷房が効いている部屋、冬場なら煖房を着けていない部屋を選びます。
・日光や空調の風が遺体に直撃しないように注意してください
火葬当日までの間、サルちゃんにたくさんの愛情と感謝を伝え、しっかりとお別れをしておきましょう。
サルちゃんが好きだったおやつや玩具、きれいなお花を供えてあげるのもおすすめです。

まとめ
今は元気なサルちゃんでも、年を重ねていけば体力も衰えていきますし、いつかはお別れしなくてはならなくなります。
どんな時でも「愛するサルちゃんには快適に安心して過ごしてほしい」というのが飼い主様の願いでしょう。
そのためには、今を充実させることももちろん大切ですが、終末期や看取りに備えておくことも同じくらい大切です。
・死につながる原因を知って対策する
・亡くなる前に現れる症状を知る
・看取る場所を決めておく
・看取り方を考えておく
・火葬の依頼先や供養方法を決めておく
当記事で解説した上記5点は、ぜひご家族全員で話し合っておいていただきたいと思います。
そして、火葬や供養のことでわからないことがあれば、私たちハピネスへお気軽にご相談ください。
サルちゃんの生前相談から、お急ぎの火葬・供養への対応まで柔軟に対応いたします。
この記事の執筆者

ペット火葬
ハピネス 編集部 S・A
愛犬・愛猫・愛鳥など8匹以上を見送った経験を持ち、現在も愛犬と暮らす動物愛好家。初代愛犬を満足に供養できなかった経験からペット火葬ハピネスへ入社。あたたかなペット葬儀のための情報を発信。私生活では動物保護ボランティアへの支援を行っている。